トランスフェリン, Tf (transferrin)
平成14年3月31日まで院内検査
平成14年4月1日より外注(BML)
臨床的意義
トランスフェリンは679個のアミノ酸からなる糖蛋白質で、電気泳動の血清蛋白分画におけるβ分画の主成分である。1分子のトランスフェリンは2原子の鉄と結合し、その運搬体として働くが、鉄結合部分の比率はトランスフェリン飽和率と呼ばれる(基準値は35%前後)。1mgのトランスフェリンは1.3μgの鉄と結合するので、免疫学的測定によるトランスフェリン蛋白量と総鉄結合能(TIBC)の間には、トランスフェリン(mg/dL)×1.3=総鉄結合能(μg/dL)の関係がある。
異常値を示す疾患
高値疾患: 鉄欠乏性貧血、真性多血症、妊婦、避妊剤や蛋白同化ホルモン剤の服用者、急性肝炎
低値疾患: 肝硬変、ネフローゼ症候群、慢性感染症、ヘモクロマトーシス、蛋白漏出性腸症、無Tf血症、鉄過剰状態、再生不良性貧血、(悪性貧血、遺伝性球状赤血球症、サラセミヤやなどの)溶血性貧血、(AML、CML、赤白血病、骨髄腫、悪性リンパ腫、子宮癌、消化器癌などの)悪性疾患、(結核、RAなどの)炎症、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症
測定方法: 免疫比濁法
測定原理: 被検血清に抗ヒトトランスフェリン血清を混合し、トランスフェリンと抗体の結合物を濁度として700nmの波長において測定し、被検血清中のトランスフェリンを定量する。
測定機器: 日立7170自動分析装置(平成14年3月31日まで)
測定試薬: 日東紡績(平成14年3月31日まで)
基準範囲: 190〜320 mg/dL (平成14年4月1日より)
189〜334 mg/dL (平成14年3月31日まで)
採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管
関連項目
血算
血清鉄(Fe)
TIBC
Ferritin
網赤血球数
参考文献
K. Bergstrom and A.K.Lefvert:Scand.J.Clin.Lab.Invest.,40,637〜640(1980)
H.Maikus, et al/:Clinica Chimica Acta,88,523〜530(1978)