コルチゾール, CORT (cortisol )


臨床的意義
 
コルチゾールは、副腎皮質から分泌される主要な糖質ステロイドで、糖代謝をはじめ、蛋白質や脂質代謝にも関与する生体にとって必須のホルモンである。副腎皮質からのコルチゾール分泌は、視床下部-下垂体-副腎皮質系のnegative feedback機構により調節されている。コルチゾールは血中でほとんどがcorticosteroid binding globulin(CBG)、その他の蛋白と結合しており、5〜10%が遊離型である。血中コルチゾールは肝、腎で代謝を受け、大部分はグルクロン酸抱合物あるいは硫酸塩として尿中に排出され、17-OHCS、17-KGSとして測定される。また、一部は遊離型としても尿中に排出される。血中コルチゾールの測定は、副腎皮質機能異常が疑われる場合に行う。血中コルチゾール濃度はACTHにより調節されているため、同時にACTHを測定することが重要である。尿中遊離コルチゾールの測定も副腎皮質機能を評価する目的で行うが、24時間蓄尿を行い測定することにより、コルチゾールの1日の分泌量を評価できる利点がある。

異常値を示す疾患

  血中コルチゾール濃度
高値 低値

血中ACTH濃度

高値 Cushing病
異所性ACTH産生腫瘍
異所性CRH産生腫瘍
glucocorticoid不応症
神経性食欲不振症
うつ病
精神的・肉体的ストレス
ACTH製剤の投与
Addison病
急性副腎不全
Nelson症候群
ACTH不応症
先天性副腎皮質過形成
 (21‐hydroxylase欠損症、11β‐hydroxylase欠損症)
副腎皮質ステロイド合成酵素阻害薬の投与
低値 副腎腺種・癌によるCushing症候群
hydrocortisoneの投与
視床下部性副腎皮質機能低下症
 脳腫瘍(germinoma、craniopharyngiomaなど)
 histiocytosis Xなど
下垂体性副腎皮質機能低下症
 下垂体腫瘍
 汎下垂体機能低下症
Sheehan症候群
ACTH単独欠損症
合成糖質のステロイド投与(dexamethasoneなど)
ACTH分泌抑制薬の投与

測定方法: 測定方法: ECLIA法(平成13年2月13日〜
                EIA法:ES600
(平成5年2月15日〜平成13年2月12日)

測定機器:  コバス8000(平成29年5月8日より)
         Eモジュール(平成18年7月18日より平成29年5月2日まで))
         エクルーシス2010(平成13年2月13日〜平成18年7月14日まで)

相関
平成29年5月8日
X=旧機器
Y=新機器
Y=1.031X-0.242 r=0.998  n=100

平成18年7月18日
X=旧機器
Y=新機器
Y=1.02X+0.268 r=0.998  n=86

平成13年2月13日
X=ES600
Y=エクルーシス2010    Y=1.011X-0.912    r=0.994     n=77

平成28年7月7日



測定試薬: エクルーシス試薬コルチゾールU(ロシュ)平成28年7月7日より
        エクルーシス試薬コルチゾール(ロシュ)平成13年2月13日〜平成28年7月6日まで

基準範囲
7.1〜19.6μg/dL(令和4年10月28日から)
※コルチゾール血中濃度については、使用しているステロイドなどの薬剤使用歴、日内変動、ストレス、下垂体機能等の影響を受けるため、評価は包括的なものとなります。一概に基準値を設けにくいため、参考値としてお示しします。
  AM6-10 7.07〜19.6 μg/dL、PM4-8  2.96〜9.77 μg/dL (平成28年7月7日より令和4年10月27日まで)能書引用:医学と薬学 2016,73 1            
8〜25 μg/dL(平成13年2月13日〜平成28年7月6日まで)
5〜21 μg/dl(平成5年2月15日〜平成13年2月12日)

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

ACTH
CRH試験
lysine-vasopressin(LVP)試験
インスリン低血糖試験
metyrapone試験
迅速ACTH試験
連続ACTH試験
dexamethasone抑制試験(迅速法、標準法)
尿中遊離コルチゾール
17−OHCS
17−KS

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