抗RNP抗体, anti-ribonucleoprotein antibody
臨床的意義
抗U1-RNP抗体が対応するU1-RNP分子は、U1-RNAと9種の蛋白(70k,A,B'/B,C,D,E,F,G)の複合体である。この中で直接に反応する抗原は、70k,A,C蛋白である。B'/B蛋白には、抗Sm抗体と反応する抗原部位があるが抗U1-RNP抗体と反応する抗原部位も存在することが知られている。また、抗U1-RNP抗体陽性血清中には、U1-RNA自体と反応する抗U1-RNP抗体も認められている。これらの抗原構成蛋白のcDNAが分離されたためリコンビナント抗原が臨床検査に利用できるようになった。抗U2-RNP抗体が対応するU2-RNP分子は、U2-RNAと6種の蛋白(A',B'',D,E,F,G)の複合体である。U1-RNPおよびU2-RNPは、核内に存在するsmall
nuclear RNP(snRNP)群に属している。snRNPは、spliceosomeを構成する蛋白でpre-mRNAからmRNAへのスプライシング機能をもつ蛋白である。抗U1-RNP抗体が陽性であることは、混合性結合組織病(MCTD)の厚生省基準の必須項目である。陽性例は、他の多くの疾患でも見られるが、MCTDに共通する臨床所見が高率である。したがって、抗U1-RNP抗体検査の目的はMCTD様の臨床的特徴の出現を探ることにある。抗U2-RNP抗体は、まれな抗体であり臨床的意義はまだ明確でない。
適応疾患: 混合性結合組織病・SLE・RAなど
測定方法: 蛍光酵素免疫測定法:FEIA法
測定機器:ImmunoCAP 250(平成22年4月28日より)
EVOLIS(日本バイオラッド(株))
BEPIII(平成17年12月28日まで)
測定試薬:ユニキャップエリア(ファディア株式会社)(平成22年4月28日より)
MBL(平成13年4月2日より改良試薬に変更〜平成22年4月27日まで)
機種変更相関、一致率
(平成22年4月28日機器、試薬を変更)
y=0.879x – 0.832 r=0.993 n=39、 100%(平成17年12月28日)
従来試薬と改良試薬の一致率(平成13年4月2日より改良試薬に変更)
抗RNP抗体 従来試薬 | ||||
+ | +- | - | ||
改良試薬 | + | 34 | 4 | 0 |
+- | 1 | 0 | 1 | |
- | 2 | 5 | 31 | |
n=78 一致率 83.3% |
基準値: 3.5 U/ml未満(陰性)、 3.5〜5 U/ml(判定保留)、5 U/ml<(陽性)(平成29年12月8日より)
5 U/ml未満(陰性)、 5〜10 U/ml(判定保留)、10 U/ml<(陽性)(平成22年4月28日より平成29年12月7日まで)
15.0 index 未満(陰性) 22.0 index 以上(陽性)(平成13年4月1日より平成22年4月27日まで)
7.0 index 未満(陰性) 15.0 index 以上(陽性)(平成13年3月31日まで)