活性型レニン定量, ARC (active renin concentration)
令和3年3月26日より院内導入
外注会社: LSIM(平成26年4月1日より社名変更)MCM(平成18年6月27日よりMBC;平成19年4月1日より社名変更)(平成18年6月26日までOML)
臨床的意義
レニン-アンギオテンシン系は体液・循環調節において重要な役割を担っている。
レニンは、さまざまな刺激により腎の傍糸球体細胞から循環血液中に分泌され、酵素として主に肝臓で合成されるアンギオテンシノーゲン(angiotensinogen : レニン基質)に作用し、アミノ酸10個からなるアンギオテンシンT(angiotensinT)を生成させる。
アンギオテンシンTは、アンギオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme ; ACE)によって、8個のアミノ酸からなるアンギオテンシンUに変換される。
このアンギオテンシンUは血管平滑筋収縮作用やアルドステロン分泌促進作用をもつ。したがって、レニンの分泌状態をみることは、内分泌・代謝・循環器・腎疾患の病態を理解するうえできわめて重要である。
従来、レニン分泌の指標として血漿レニン活性(plasma renin activity ; PRA)が用いられてきた。PRAは、測定法が簡便なため広く普及し、今日でも高血圧の診断における必須検査項目の一つである。
しかし、PRAはアンギオテンシノーゲンの増減の影響を受けることがあるため、血中レニン量をより正確に反映する評価方法が考案された。
一つは、サンプルに外因性の過剰のアンギオテンシノーゲンを加え、基質飽和の状態で生成されるアンギオテンシンTを測定するもので、この指標は実際に血中のレニン濃度を直接測定したものではないが、レニン分泌をほぼ正確に反映するため、慣例に従い血漿レニン濃度(plasma renin concentration ; PRC)と呼ばれている。
しかし、PRCの測定には多量のアンギオテンシノーゲンを必要とし、長時間のインキュベーションを要するなど、一般的な臨床検査とするには難点があった。
一方、Galenらにより、活性型レニン(active renin)を認識するモノクローナル抗体が開発され、血漿中の活性型レニン濃度(active renin concentration ; ARC)を直接定量することが可能となり日常診療でもオーダーされるようになった。
レニン-アンギオテンシン系は血圧や水・電解質バランスの調節において重要な役割を果たしているので、レニンの分泌状態を把握することは高血圧や水・電解質異常の病態を理解し診断を進めていくうえで欠かすことのできないステップとなっている。特に腎血管性高血圧や悪性高血圧の診断には必須である。
また、低カリウム血症、脱水などの水・電解質異常の原因検索、原発性アルドステロン症などの内分泌異常の診断にも有用である。
異常値を示す疾患
[高値]
立位、低食塩、寒冷、心理的ストレス、利尿薬、血管拡張薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、腎血管性高血圧、悪性高血圧、褐色細胞腫、レニン産生腫瘍、大動脈縮窄症、Bartter症候群、pseudo-Bartter症候群、Addison病、21水酸化酵素欠損症、尿崩症
[低値]
臥位、高食塩、β遮断薬、交感神経抑制薬、原発性アルドステロン症、Liddle症候群、Gordon症候群、17α水酸化酵素欠損症、11β水酸化酵素欠損症、Shy-Drager症候群
測定法:CLEIA法(令和2年4月1日より)
IRMA法(ビーズ固相法)(令和2年3月31日まで)
測定機器:LIMIPULSE L2400(令和3年3月26日より)
測定試薬:ルミパルスプレスト®レニン(富士レビオ株式会社)(令和2年4月9日より)
基準値:2.21〜39.49 pg/mL(令和3年3月26日より)
1.2〜35.4 pg/mL(随時)(令和2年4月1日から令和3年3月25日まで)
安静臥位 | 2.5〜21.4 pg/mL |
立位歩行 | 3.6〜63.7 pg/mL |
(令和2年3月31日まで)
相関
令和3年3月26日
@ y=LUMIPULSE L2400,x=レニンIRMA「FR」
y=1.0x+1.96 r=0.97 n=109
A y=LUMIPULSE L2400,x=CLEIA法
y=1.0x-1.08 r=1.00 n=115
B y=LUMIPULSE L2400,x=EIA法レニン活性
y=6.0x-16.0 r=0.76 n=95
採取管:紫2Na
関連項目
レニン活性(PRA)
アルドステロン