C4

臨床的意義
 
C4は、分子量19.8万の糖蛋白で、3本のポリペプチド鎖からなる。血中補体成分の中ではC3についで多い。C4遺伝子はC4A、C4Bからなり、C2、factorBの遺伝子とともに第6染色体のHLA領域に位置している。肝細胞や単球、マクロファージで1本鎖のproC4として合成され、糖鎖の結合、3本鎖への切断を受けC4として分泌される。C4は古典経路の中で、C1、C2とともに初期反応補体成分と呼ばれ、C1の活性をC3に伝達するうえで重要な役割を果たしている。まずC1の活性化は、抗原抗体複合物のほかに、CRP、黄色ブドウ球菌の細胞壁蛋白のプロテインA、RNAウイルス、プラスミン、カリクレインなどの物質でも生じる。C1が活性化されると、ついでC4はC4a、C4bに分解される。C4はC1以外にも、種々のセリンプロテアーゼにより同様に分解される。C4の活性化の結果生じたC4bは、@C2と結合しC4bC2の形成、AC4b binding protein(C4bp)との結合、BC4b receptor(CR1と同一)との結合、などが起こる。C4aは液相に放出されるが、これはアナフィラトキシン活性を示す。@の機序により活性の伝達が生じる。Mg2+存在下でC4bC2が形成され、C1の作用によりC2からC2bが切り離され、C4b2aが形成される。これはC3転換酵素活性をもち、C3を活性化してC4b2a3bとなり、以下C5、C6、C7、C8、C9と反応が進み、細胞膜に疎水性の孔が生じる。C4bあるいはC4b2aにC4bpが結合すると、I因子により、C4bは液相中に切り離されるC4cと、細胞膜上に残るC4dに分解される。その結果C4b活性は失われる。古典経路の活性化に対する他の制御因子には、C1に対するC1 inhibitor、C3bに対するH、I因子などがある。また活性化されたC2aは、速やかに自然崩壊することで反応に抑制がかかることも知られている。疾患、病態への補体のかかわりを推測する場合、診断、治療効果の指標などを目的とし測定する。血清C4濃度は、高値よりも低値の場合が問題となる。C4の低下は、免疫複合体などによる補体古典経路の活性化によるC4の消費、同じくC1インヒビターの欠損による補体古典経路の異常な活性化亢進、C4蛋白の産生低下などが原因として考えられる。低補体価を認めれば、C3、C4を測定し、それらの低下の組み合わせから、補体活性化経路の推測が可能となる。すなわちC4が低下していれば古典経路の活性化が、C4が正常でC3のみ低下していれば第二経路の活性化が強く疑われる。

異常値を示す疾患
低値: 
SLE、ループス腎炎、悪性関節リウマチ、混合性結合組織病、急性糸球体腎炎、DIC、多臓器不全、血清病、遺伝性・後天性血管神経性浮腫(C1INH欠損)、慢性関節リウマチの関節液、C4欠損症、慢性肝炎、肝硬変、劇症・亜急性肝炎

測定方法: 免疫比濁法

測定機器: 日本電子BM6050(平成26年3月24日より)
          日本電子BM1650(平成18年7月18日より平成26年3月20日まで)
          日立7170自動分析装置(平成18年7月14日まで)

測定試薬: 日東紡績株式会社

基準範囲 : 11〜31mg/dL  (平成27年7月1日より共用基準範囲へ変更)
    
  13.0〜35.0 mg/dL (平成17年3月7日より平成27年6月まで)
    
  11.9〜34.9 mg/dl (平成16年4月から平成17年3月6日まで)
       11.0〜32.0 mg/dl (平成10年2月から平成16年3月まで)
           
12 〜37 mg/dl (平成10年1月まで)

相関
平成18年7月18日
X=旧機器
Y=新機器
Y=0.950X+0.04 r=0.999  n=200

平成17年3月
X=旧試薬(日本凍結乾燥研究所)
Y=現試薬
Y=1.02X-0.08   r=0.995 n=173

平成16年3月
X=旧試薬
Y=現試薬
Y=1.09X-0.63   r=0.999 n=50

平成10年1月
X=旧試薬
Y=現試薬
Y=0.908X-2.559   r=0.993

小児の基準値

 基準値は遺伝子支配が二つの遺伝子より及んでおり、allotypeが変化に富んでいることより幅が広い。classical pathwayの活性化の結果を比較的よく反映し、CH50と相関する場合は遺伝性血管神経性浮腫やSLEなどで疾患の病状の変化を把握する際に有用である。C4蛋白の変動がなくCH50が異常低下する場合でもっとも多いのが、cold activationといわれる反応である。室温に置くことによってcryoglobulinが形成され、C4の活性が低下する。しかしC4蛋白量自身はin vitroの変化であるために変化しない。このような際はEDTA添加による検体と、室温放置の両方のCH50を測定し、両者を比較することによって鑑別可能である。EDTA添加のものはcryoglobulinによるclassical pathwayの活性化が抑制されるため、検体のCH50は顕著な低下は生じない。

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

C3
C1インヒビター
抗核抗体
免疫複合体
クリオグロブリン

先頭に戻る     蛋白関係ページに戻る      自己抗体ページに戻る      捕体関係ページに戻る