尿−ウロポルフィリン定量, URO (uroporphyrin)
測定法:Rimington変法(蛍光法)
外注会社:BML(平成15年3月31日まで大塚)
臨床的意義
ヘムは、主に肝と赤芽球で産生され、その中間体あるいは、中間体由来の酸化物であるポルフィリンは尿、血液、胆汁及び糞便中に見出される。健常人では、ウロポルフィリン、コプロポルフィリン、プロトポルフィリンなどが少量検出されるが、ポルフィリン代謝系酵素の遺伝的または鉛中毒などの後天的障害により各病型特有のポルフィリンが出現しこれらの疾患の鑑別診断、病状の判断、予後経過などに必要である。遺伝性ポルフィリン症は、ヘム合成酵素の活性が異常に減少しているために生じる先天代謝異常症であり、その異常が主にどの臓器に発現しているかによって赤芽球性と肝性にあるいは、臨床的立場からその主要症状の違いにより皮膚型と急性に分類されるが発症には医薬品、アルコール多飲、各種ストレスなどの誘発因子が関与するため早期診断が重要である。肝性ポルフィリン症の場合は肝ヘム濃度の減少に基づく負のフィードバック機序によりδ-aminolevulinate
synthase
活性が上昇し、障害酵素までの各種中間代謝産物が、また、赤芽球性ポルフィリン症の場合は主に異常酵素の基質が過剰蓄積され血液、尿、糞便などに出現する。
異常値を示す疾患:高値疾患
遺伝性ポルフィリン症 | 障害酵素 | 血液 | 尿 | 糞便 | ||
赤芽球性 | 皮膚型 | 先天性赤芽球性ポルフィリン症 | UROS | COPRO I, ZP | URO I>COPRO I | COPRO I |
赤芽球性プロトポルフィリン症 | FeC | FP | 肝障害によりCOPROI | PROTO(正常の20倍以上) | ||
肝性 | 肝赤芽球性ポルフィリン症 | UROD | FP, COPRO | URO III, HEXA III | PROTO, iso-COPRO | |
晩発性皮膚ポルフィリン症 | UROD | 正常 | URO I>III, HEX III | HEXA, PENTA, iso-COPRO,COPRO>PROTO | ||
急性 | ALAD欠損性ポルフィリン症 | ALAD | 正常 | ALA, COPRO III | COPRO, PROTO | |
急性間欠性ポルフィリン症 | PBGD | 正常 | ALA, PBG, PENTA | PROTO>COPRO | ||
遺伝性コプロポルフィリン症 | CPO | 正常 | COPRO III, ALA, PBG | COPRO III>COPRO I>PROTO | ||
多様性ポルフィリン症 | PPO | 正常 | COPRO III>URO III,ALA,PBG | PROTO>COPRO, X-porphyrin | ||
鉛中毒 | ZP>FP | COPRO III, ALA | COPRO, PROTO | |||
鉄欠乏性貧血 | ZP>FP | ALA | PROTO>COPRO | |||
鉄芽球性貧血 | ZP>FP | 正常 | PROTO>COPRO | |||
溶血性貧血 | ZP>FP | URO III, HEX III | PROTO>COPRO |
その他異常値をみる疾患
先天代謝異常症(先天性チロシン血症、Dubin-Johnson
症候群、Roter病など)、肝疾患(肝硬変、胆汁性肝硬変、肝炎、肝癌薬剤性肝障害、ヘモクロマト−ジスなど)、血液疾患(悪性貧血、白血病、再生不良性貧血、Hodgkin
病など)、代謝亢進(発熱、運動、甲状腺機能亢進症など)、ビタミン欠乏症(ナイアシン、B2,B6など)、化学物質曝露(水銀、砒素、銅、金など)
基準値: 2〜25 μg/g・Cr
20 μg/day 以下 (平成15年3月31日まで)
採取容器: BML(U2
関連項目
赤血球コプロポルフィリン定量
赤血球プロトポルフィリン定量
尿−コプロポルフィリン定量
尿−デルタアミノレブリン酸定量