リポ蛋白分画, lipoprotein fractionation

平成17年3月28日より外注BML

臨床的意義
 
主要なリポ蛋白としてCM、VLDL、LDL、HDLがある。さらに、VLDLとLDLの間にIDLを区別することもある。リポ蛋白は血清脂質の運搬体であり、血清脂質とアポ蛋白が結合してできている。CMは小腸で生成され、胸管リンパを経て血中に入る。VLDLは肝で生成され分泌された後、IDL、LDLに変化する。HDLは小腸と肝で作られるほか、CMやVLDLがリポ蛋白リパーゼの作用を受けて異化される過程でも生成される。この異化される過程のCMやVLDLはレムナントと呼ばれ、細胞内に取り込まれやすくなっている。LDLやHDLは粒子サイズなど物理的状態に多様性があり、それにより機能に違いがみられる。リポ蛋白分子は相互に関連を持ちながら変動しており、脂質代謝に関する病態の検討には各リポ蛋白分画の絶対量の測定だけでなく、相対量の変化や各リポ蛋白分画の組成の変化を知ることが大切である。各リポ蛋白分画を構成するコレステロール(遊離型、エステル型)、トリグリセリド、リン脂質、アポ蛋白の量を測定するとともに、リポ蛋白分子の大きさ、比重、形態などの物理的性状を分析する。疾病時にはリポ蛋白分画の量的変化、質的組成の変化が現れるほかに、特異なリポ蛋白が出現する場合もある。コレステロールとトリグリセリドがともに上昇している場合でもVLDLとLDLが増加するケースと、βVLDLが増加し、ブロードβを呈する場合で病態が異なることがわかっている。また、動脈硬化の指標としてβ/α比やLDL/HDL比などが臨床的に意義あるものと認められており、リポ蛋白プロフィールとしてリポ蛋白分画を測定することが必要である。

測定方法: ポリアクリルアミドゲルリポプロテインディスク電気泳動

測定機器: 電気泳動装置

測定試薬: リポフォー(常光)

基準範囲 

HDL 23.8〜49.3%
LDL 39.5〜62.3%
VLDL 8.6〜17.5%

異常値を示す疾患
1. CM
高値 : I型高リポ蛋白血症(LPL欠損症、アポC-II欠損症)、V型高リポ蛋白血症、インスリン欠乏症(ケトアシドーシス)、特発性高カイロミクロン血症
低値 : 無βリポ蛋白血症、アポB-48単独欠損症、脂肪吸収不良症候群

2.VLDL(+IDL)
高値 : IV型高リポ蛋白血症(家族性高トリグリセリド血症)、V型高リポ蛋白血症、IIb型高リポ蛋白血症(家族性複合型高脂血症)、III型高リポ蛋白血症、末端肥大症、ネフローゼ症候群、糖尿病、痛風
低値 : 無βリポ蛋白血症、低βリポ蛋白血症

3.LDL
高値 : IIa型高リポ蛋白血症(家族性高コレステロール血症)、IIb型高リポ蛋白血症(家族性複合型高脂血症)、ネフローゼ症候群、甲状腺機能低下症
低値 : 無βリポ蛋白血症、低βリポ蛋白血症、甲状腺機能亢進症、肝硬変、アポE2バリアント

4. HDL
高値 : CETP欠損症、肝性リパーゼ欠損症、胆管炎
低値 : Tangier病、アポA-1欠損症、家族性低HDL血症、アポA-1ミラノ血症、LCAT欠損症、魚眼病、LPL欠損症、アポC-II欠損症、急性肝炎、肝硬変、慢性腎不全、甲状腺機能亢進症、プロブコール

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管
 
関連項目

血清脂質
アポリポタンパク
リポ蛋白リパーゼ
LCAT
LDL受容体活性
酸化LDL
Lp(a)

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