AFPレクチン分画, AFP-L3%(LCA-reactive α-fetoprotein isoform) 
平成15年4月1日より院内実施
(平成15年3月31日まで外注MBC:レクチン親和電気泳動/イムノブロット)



臨床的意義
 
α-フェトプロテイン(AFP)は肝細胞癌の優れたマーカーとして広く用いられているが、慢性肝炎や肝硬変のような肝良性疾患患者でもその血中濃度が上昇するため、軽度〜中等度高値(〜400ng/ml)症例では一般に鑑別困難とされている。そこで、AFP分子上の糖鎖の癌性変化をレクチンとの親和性を利用して検出し、肝細胞癌由来AFPを分別測定する手法が開発された。AFPは分子量約7万の糖蛋白で、1分子当たり1個のアスパラギン結合型糖鎖を有する。レンズマメレクチン(Lens culimaris agglutinin-A:LCA)を用いた親和電気泳動において分離されるバンドを陽極側よりL1(LCA非結合性)、L2(LCA弱結合性)およびL3(LCA結合性)分画とするとき、肝良性疾患患者AFPの大部分がL1分画に出現するのに対して、肝細胞癌患者ではL3分画の占める比率が増加する。こうしたLCA親和性の相違は糖鎖根部に結合するフコースの有無に関係していると考えられており、肝細胞癌の際はフコース結合型AFPが増加するという。AFP-L3分画比率の測定は肝細胞癌と肝良性疾患との鑑別診断、肝細胞癌の早期診断、および治療後の予後管理に有用である。なお、肝細胞癌以外で血清AFP上昇を示す悪性疾患として知られるヨークサック腫瘍では、L2分画の増加が特徴的であるとの報告がある。


測定方法: LBA-EATA法(Liquid-phase Binding Assay–ElectroKinetic Analyte Transport Assay)(平成22年6月16日より)
        
LBA法(Liquid-phase Binding Assay)(平成22年6月15日まで)

測定機器: ミュータスワコー i30 (平成22年6月16日より)
              
臨床用自動分析装置LiBASys(リバシス)(平成22年6月15日まで)

基準範囲: L3分画 10.0% 未満(メーカー推奨値に変更) 
       
L3分画 15.0% 以下(平成13年3月31日まで) 

相 関:平成22年6月16日

異常値を示す疾患
高値疾患: 肝細胞癌 

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

PIVKAII
AFP
 

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