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教授ご挨拶

教授:本田 知之(HONDA, Tomoyuki) 岡山で病原ウイルス学分野を引き継いだ2021年、ちょうど新型コロナウイルスが パンデミック(大流行)を起こし、人の行動様式や社会システムが大きく変わろうとしています。 思えば、ここ10年のうちに、エボラ出血熱やデング熱、ジカ熱など、ほぼ数年に1回、新興あるいは 再興のウイルス感染症が勃発しています。地球上にはまだ多くの未知のウイルスが存在すると考えられ、 また既存のウイルスが変化して新型ウイルスになることも考えられます。つまり、歴史は今後も繰り返され、 人類はウイルス感染症に悩まされ続けることは明白です。

一方で、ウイルスは悪い面ばかりではありません。例えば、「遺伝子治療」という言葉を聞いたことが あると思います。現在国内で治験が行われている遺伝子治療の多くは、ウイルスに遺伝子を積んで体内に 届ける方法(ウイルスベクター)をとっています。また、岡山大学では腫瘍を溶解させるウイルスによる がん治療の開発にも力を入れています。これらの技術開発は、ウイルスの毒性を取り除き、ウイルスを有効利用しているのです。

さらに、私たちのゲノムの10%程度は過去に感染したウイルス由来の遺伝情報で成り立っています。 これらの配列が、私たちの生命現象にどのような役割を持つかはまだ不明です。しかし、ゲノムの10%もの 領域を割いていまだに存在し続けることから、何らかの重要性があると考えるのが自然です。

ウイルスの多くは、数個から100個程度の遺伝子しか持ちません(ちなみに、ヒトの場合約2-3万個)。 そのため、ウイルスは増殖するために、私たちの細胞を上手に利用します。つまり、ウイルスは最も私たちの 細胞を理解している存在なのです。私たちは、謙虚にウイルスを学ぶことで、細胞の営みの原理を知ろうと しています。得られる情報を使って、ウイルスベクター開発やウイルス感染症治療薬の開発にも取り組んでいます。

興味がある人もない人も、私たちと一緒にウイルスの生態の神秘をのぞきましょう!

岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 病原ウイルス学 教授 本田 知之

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