国立大学法人 岡山大学

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日本列島の、過去1億1000万年間の大陸移動を明らかに災害に強い地域を検討する上で重要な知見

2021年07月29日

岡山大学
愛知大学

◆発表のポイント

  • 日本列島西部、西南日本の過去1億1000万年間の地殻変動(プレートテクトニクス)の歴史を明らかにしました。
  • 約1億1000万年前の吉備高原で堆積した地層が有する磁化情報を分析した結果、吉備高原を中心とする西南日本が、少なくとも約4000万年間に渡り、地殻変動の観点から安定的であったことが示されました。
  • 災害に強い地盤を有する地域を検討する上で非常に貴重な知見となります。

 日本列島は地質学的には「変動帯」に位置していて、地震の発生や火山の噴火などプレートテクニクスに起因する現象が数多く発生する地域です。そのような位置づけの日本列島の中から、地質学的時代を通して安定的に振る舞ってきた地域を検討することは、防災・減災上の重要な課題となります。最近の約3000万年間については、西南日本1) の中央部に位置する吉備高原がそういった地域の候補であることが近年の研究で示唆されてきたことから、本研究ではより古い年代である白亜紀(1億1000万年前)以降の吉備高原とその周辺地域に焦点を当てた研究を行いました。
 学術研究院教育学域の宇野康司教授(地球科学領域)、愛知大学経営学部の古川邦之教授らの研究グループは、地質学と物理学に基礎を置いた古地磁気学とよばれる手法からのアプローチで、約1億1000万年前の吉備高原で堆積した地層が保持する磁化情報の分析を行い、西南日本の古地磁気極移動曲線2) を確立しました。そのデータと安定なアジア大陸内部のデータとの比較を行った結果、吉備高原およびその周辺地域が約1億1000万年前以降4000万年間にわたり地殻変動の観点から安定的であったことが示されました。災害に強い地盤を有する地域を検討する上でも非常に重要な発見であると言えます。本研究成果は6月22日、 国際誌「Earth, Planets and Space」に掲載されました。

◆研究者からのひとこと

プレートテクトニクスを解読するための基本データである「古地磁気極移動曲線」。各地域の地質学的歴史を知るための重要な基礎的データであり、大きな大陸のみならず、日本列島のような小さな陸地についても確立される必要があります。今回の研究で、西南日本の1億1000万年前以降のプレート運動が明らかとなりました。
宇野教授

■論文情報
論 文 名:An improved apparent polar wander path for southwest Japan: post-Cretaceous multiphase rotations with respect to the Asian continent
「西南日本の見かけの極移動経路:白亜紀後に生じたアジア大陸に対する多段階の回転運動」

掲 載 紙: Earth, Planets and Space
著   者: Koji Uno, Yuta Idehara, Daichi Morita, Kuniyuki Furukawa
D O I: https://doi.org/10.1186/s40623-021-01457-6
U R L: https://earth-planets-space.springeropen.com/articles/10.1186/s40623-021-01457-6

<詳しい研究内容について>
日本列島の、過去1億1000万年間の大陸移動を明らかに災害に強い地域を検討する上で重要な知見


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院教育学域
教授 宇野康司
(電話番号)086-251-7641

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