どんどんふえた超伝導体!!
     
           
   


単体元素の超伝導体

 単体元素では、約30種の元素がただ冷やすだけで超伝導を示します。その中で最も高いTcは、Nb元素の9.2 Kです。試料合成や評価技術が向上した現在では、薄膜や高圧下などの特殊条件下で超伝導を示すものを含めて約51種の単体元素超伝導体が発見され、今後もなお増える続ける可能性を秘めています。

銅酸化物超伝導体

  1986年のJ. BednorzK. Müllerによる『Possible High Tc Superconductivity in the Ba-La-Cu-O System』の報告から始まった銅酸化物超伝導体は、現在も当研究室のみならず多くの研究グループによって研究されつづけています。現在では100 K級の超伝導体も数多く発見されています。
 『銅酸化物』という名前の由来ですが、これはこの系が結晶構造中に必ず銅と酸素からなる
CuO2面を持っていることからきています。Fig.2に最初の銅酸化物超伝導体La2-xBaxCuO4の結晶構造が示してあります。この結晶構造はK2NiF4型と呼ばれるもので、 Ba1-xKxBiO3と同じペロブスカイト型構造と岩塩型構造が交互に積み重なった構造をしています。図中で矢印で示したところがCuO2面です。銅酸化物超伝導体では、このCuO2面が超伝導の舞台となる重要な役目を担っています。

金属間化合物超伝導体

 金属間化合物の超伝導は、単体元素超伝導体とともに、古くから注目されて探索されてきた物質です。 Fig.1は、金属間化合物超伝導体のTcの推移を示しています。金属間化合物超伝導体は、銅酸化物超伝導体ほど高いTcを持つものはまだ発見されていませんが、元々金属であるだけに加工しやすいという利点を持っており、広く応用に向けた研究が進んでいます(銅酸化物超伝導体は元々御茶碗のようなセラミックスのため展性・延性に乏しい。そのため加工が大変難しい)
 超伝導の理論である
BCS理論も、金属間化合物超伝導体の発見がなければ進まなかったでしょう。また、近年、比較的高いTc = 39 Kで超伝導を示す物質MgB2が発見されたことから、今までよりもさらに精力的に研究が進められています。