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Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.61 発行

 本学は1月18日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療産業等に結びつく成果を英語で情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.61を発行しました。
 2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者等にニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上などを推進しています。
 OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。
 本号では、大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)口腔形態学分野の池亀美華准教授と岡村裕彦教授らの骨に力をかけると、骨を作る細胞が新しくできてくるだけでなく、通常は骨作りの後半で作られるオステオカルシンというタンパク質がもっと早い時期から作られるようになることを明らかにした研究成果について紹介しています。
 骨は運動や重力などで力が加わると太く丈夫になり、逆に運動不足や微小重力下では細く弱くなることは日常的に体験できることです。しかし、どうしてそうなるのか、細胞レベルでの仕組みについては、分からないことがまだたくさんあります。その仕組みが分かれば、寝たきりや宇宙空間での長期滞在などによって骨が失われるのを防ぐ方法が見つかるかもしれません。
 池亀准教授と岡村教授、それに朝日大学歯学部の江尻貞一教授らは、今回の実験をネズミの骨を使用して行いました。ネズミの頭の骨の継ぎ目(縫合部)を広げるように伸展力を加えると、広がった縫合部を埋めようと、骨を作る細胞が新しくリクルートされてきて急速に骨を作ります。新しい骨が作られるときには、さまざまな骨の成分が順を追って細胞から分泌され、骨の微量タンパク質であるオステオカルシンは骨作りの後期に分泌されます。しかし、力をかける中で新たに現れた骨を作る細胞からは、いつもより早いタイミングでオステオカルシンが分泌されることがわかりました。
 骨は単なる体の支柱ではなく、重要な臓器の一つです。骨から血液中に放出される物質が全身の臓器にさまざまなメッセージを送り、記憶力、筋力、免疫力、男性ホルモン産生、糖代謝などを調節することが明らかになりつつあり、特にオステオカルシンは大切なメッセージ物質であることが分かっています。
 今回の研究成果は、骨に力を加えることで、こうした骨の全身に及ぼす働きにも違いがでてくる可能性を示しています。今後さらに研究が進んで、骨と運動という観点から、私たちが超高齢化時代を健康で若々しく生き抜いていくためのヒントが見つかることが期待されます。
 岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある医療分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術として、より早く届けられるように研究開発を推進していきます。
 なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。


Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.61:Mechanical stress affects normal bone development


<Back Issues:Vol.53~Vol.60>
Vol.53:Successful implantation and testing of retinal prosthesis in monkey eyes with retinal degeneration (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 松尾俊彦准教授、大学院自然科学研究科(工学系)内田哲也准教授)
Vol.54:Measuring ion concentration in solutions for clinical and environmental research (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 紀和利彦准教授)
Vol.55:Diabetic kidney disease: new biomarkers improve the prediction of the renal prognosis (大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 和田淳教授、三瀬広記医員)
Vol.56:New device for assisting accurate hemodialysis catheter placement (大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 大原利章助教)
Vol.57:Possible link between excess chewing muscle activity and dental disease (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)皆木省吾教授、加藤聖也医員)
Vol.58:Insights Into Mechanisms Governing the Resistance to the Anti-Cancer Medication Cetuximab (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)江口傑徳助教)
Vol.59:Role of commensal flora in periodontal immune response investigated (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)森田学教授、福原大樹医員)
Vol.60:Role of commensal microbiota in bone remodeling (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)森田学教授、内田瑶子歯科医師)


<参考>
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
広報・情報戦略室
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp


本号で紹介した研究成果を担当した池亀美華准教授


骨縫合部に伸展力をかけると、引っ張られた方向に新しい骨が急速に作られる。このとき、骨を作る細胞が増えるだけではなく、早いタイミングでオステオカルシンを分泌する細胞が現れる。


国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。 また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています