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Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.72 発行

 本学は11月4日、岡山大学の強みのひとつである医療系分野の研究開発の成果について、革新的な技術に橋渡すことのできる基礎研究や臨床現場、医療イノベーションなどに結びつく成果などを英語で世界に情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.72を発行しました。
 2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産、技術移転活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者などにニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信の強化と国際的知名度の向上などを推進しています。
 OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。
 本号では、大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)合成医薬品開発学分野の加来田博貴准教授らの、レチノイドX受容体に対する結合性分子の簡便な判定法の開発についての研究成果を紹介しています。
 加来田准教授らは、静岡県立大学食品栄養科学部の中野祥吾助教らと日本大学、立教大学、アイバイオズ株式会社の共同研究により、レチノイドX受容体(RXR)に対する結合物質の簡便な探索技術の開発とその作用機序の解明に成功しました。
 RXRは、DNAに結合して標的とする遺伝子の発現を制御するスイッチとして機能し、このスイッチ機能はRXRに結合する低分子によって制御されます。また、食品中に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)もRXRに結合し、学習能力の向上につながるとされています。しかしながら、これまでのRXRに対する結合性分子の探索法は、ラジオアイソトープ(放射性同位体)を用いる方法や細胞を用いる方法であり、法規制、特殊装置の必要性、時間を要するなどの課題がありました。
 今回、加来田准教授らが創出した技術は、RXRに結合すると蛍光が弱まり、RXRから外れると強い蛍光を発するRXR結合分子CU-6PMN(1)の創出とその利用に関するものです。RXRと本研究で創出したCU-6PMN(1)を混合した溶液に、評価したい溶液を加え、汎用性の高い測定機器(蛍光プレートリーダー)を用いて蛍光を測定することで、その溶液中にRXR結合性分子の有無が数時間内に判定できます。この技術を使えば、創薬や機能性食品開発のみならず、湖沼水、海水中のRXR結合性分子の探索が容易に行えます。また、この技術をもとに、エストロゲン受容体や甲状腺ホルモン受容体を対象とする結合性分子の探索技術への応用も期待されます。
 岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進しています。今後も強みある医療系や異分野融合から生み出される成果を産学官民共創のオープンイノベーションの加速や社会、医療現場が求める革新的技術、健康維持増進により早く届けられるように研究開発を推進していきます。
 なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.72:Synthetic compound provides fast screening for potential drugs


<Back Issues:Vol.64~Vol.71>
Vol.64:Inflammation in the brain enhances the side-effects of hypnotic medication (岡山大学病院薬剤部 北村佳久准教授)
Vol.65:Game changer: How do bacteria play Tag? (大学院環境生命科学研究科(農学系)田村隆教授)
Vol.66:Is too much protein a bad thing? (異分野融合先端研究コア 守屋央朗准教授)
Vol.67:Technology to rapidly detect cancer markers for cancer diagnosis (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 紀和利彦准教授)
Vol.68:Improving the diagnosis of pancreatic cancer (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)岡田裕之教授、松本和幸助教)
Vol.69:Early Gastric Cancer Endoscopic Diagnosis System Using Artificial Intelligence (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)河原祥朗教授)
Vol.70:Prosthetics for Retinal Stimulation (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 松尾俊彦准教授&大学院自然科学研究科(工学系)内田哲也准教授)
Vol.71:The nervous system can contribute to breast cancer progression (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)神谷厚範教授)


<参考>
「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」バックナンバー
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
総務部 広報課
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp


本号で紹介した研究成果を担当した加来田博貴准教授


RXRと協働する様々な核内受容体。 TR(甲状腺ホルモン受容体)、VDR(ビタミンD受容体)、RAR(レチノイン酸受容体)など


国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。
また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています