ニュース

ホーム > ニュース > Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.73 発行

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.73 発行

 本学は12月4日、岡山大学の強みのひとつである医療系分野の研究開発の成果について、革新的な技術に橋渡すことのできる基礎研究や臨床現場、医療イノベーションなどに結びつく成果などを英語で世界に情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.73を発行しました。
 2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産、技術移転活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者などにニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信の強化と国際的知名度の向上などを推進しています。
 OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。
 本号では、大学院ヘルスシステム統合科学研究科の松尾俊彦教授大学院医歯薬学総合研究科(医学系)腫瘍病理学分野の田中健大助教目のまれな病気「眼内悪性リンパ腫」の長期予後の研究成果について紹介しています。
 眼内悪性リンパ腫は、硝子体混濁として発症するため、眼の炎症であるぶどう膜炎との区別(鑑別)が難しいのが現状です。原因が不明で炎症に対する消炎薬の点眼や内服が効かない硝子体混濁を診たときには、ぶどう膜炎と鑑別するため、硝子体手術を行い、切除した硝子体混濁を集めて病理検査に出します。病理医が免疫染色によって細胞を染め分け、どのような細胞がいるのかを調べて診断します。病理診断で悪性リンパ腫と決まった場合、リンパ腫が眼の中だけなのか、それとも中枢神経系(脳)にもリンパ腫がないかどうかの画像検査を実施します。眼内リンパ腫の場合、脳リンパ腫をいつ頃引き起こすのか、脳リンパ腫を引き起こさない場合はあるのか、どういう治療を行えば脳リンパ腫を引き起こさずに済むのかは分かっていません
 今回、松尾教授と田中助教は、2005~2019年に岡山大学病院を受診し、「眼内悪性リンパ腫」と診断された22人の長期経過を調査しました。その結果、多く方は中枢神経系(脳)リンパ腫を引き起こしますが、中には眼内リンパ腫のみに留まり、経過がよい方もいることがわかりました。眼内悪性リンパ腫はまれな疾患ですが、本研究成果のように比較的多くの患者さんの治療経過を振り返ることによって、今後、標準的な治療の確立や新規治療の創出に向かって基盤となる情報を提供できるようになります。
 岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進しています。今後も強みある医療系や異分野融合から生み出される成果を産学官民共創のオープンイノベーションの加速や社会、医療現場が求める革新的技術、健康維持増進により早く届けられるように研究開発を推進していきます。
 なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.73:Primary intraocular lymphoma does not always spread to the central nervous system


<Back Issues:Vol.65~Vol.72>
Vol.65:Game changer: How do bacteria play Tag? (大学院環境生命科学研究科(農学系)田村隆教授)
Vol.66:Is too much protein a bad thing? (異分野融合先端研究コア 守屋央朗准教授)
Vol.67:Technology to rapidly detect cancer markers for cancer diagnosis (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 紀和利彦准教授)
Vol.68:Improving the diagnosis of pancreatic cancer (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)岡田裕之教授、松本和幸助教)
Vol.69:Early Gastric Cancer Endoscopic Diagnosis System Using Artificial Intelligence (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)河原祥朗教授)
Vol.70:Prosthetics for Retinal Stimulation (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 松尾俊彦准教授&大学院自然科学研究科(工学系)内田哲也准教授)
Vol.71:The nervous system can contribute to breast cancer progression (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)神谷厚範教授)
Vol.72:Synthetic compound provides fast screening for potential drugs (大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)加来田博貴准教授)


<参考>
「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」バックナンバー
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
総務部 広報課
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp


本号で紹介した研究成果を担当した松尾俊彦教授


国立大学法人岡山大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。
また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています