ウイルスの進化から生命に迫る研究!

43億年前に地球は誕生し、38億年前に生命が誕生しました。

生命は大きく進化し、現在の遺伝情報をコードしているDNA分子が誕生したと考えられています(DNAワールド)。DNAワールドの以前は、DNAとは異なる分子であるRNAに遺伝情報がコードされていた時代「RNAワールド」があったと考えられています。

環境中にはその化石ウイルスが存在します。化石ウイルスの一部は、RNAとDNAの中間体の分子を有するゲノムを有しています。このウイルスを「dU型ウイルス」とここでは呼びます。

私たちの研究室では、dU型ウイルスをこれまで分離してきました。

今回、dU型ウイルスのゲノム情報を解析し、そのゲノム情報を基に環境中の全ウイルスゲノムに対して、ウイルスハンティングを行いました。

 

分離したdUウイルスと環境中のdU型ウイルスを使用して、全環境ウイルスとの比較や系統分類学的な解析を行いました(下の図)。この結果からdU型ウイルスは、細菌の2つの大きな分類「グラム陽性菌とグラム陰性菌」が分岐する以前に、既に誕生していたことが明らかとなりました。

この研究成果は、生命の進化の解明に一歩近づく研究成果です。


 

Uchiyama J, Takemura-Uchiyama I, Gotoh K, Kato S, Sakaguchi Y, Murakami H, Fukuyama T, Kaneki M, Matsushita O, Matsuzaki S. Phylogenic analysis of new viral cluster of large phages with unusual DNA genomes containing uracil in place of thymine in gene-sharing network, using phages S6 and PBS1 and relevant uncultured phages derived from sewage metagenomics. Virus Research, 319, 198881, 2022.

 

2022年08月09日