国立大学法人 岡山大学

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遺伝情報を知ることで診断-予防-治療を通して確実に命を救う 中央西日本遺伝性腫瘍コホート研究キックオフシンポジウムを開催

2021年04月07日

 遺伝因子によって生じるがんを「遺伝性腫瘍」と呼び、がん全体の約1割を占めます。この遺伝性腫瘍に関する日本人のデータはまだ十分ではないのが実情であるため、2020年12月、岡山大学病院を含む中国・四国地方および東京都・兵庫県の医療機関16施設が協力して、遺伝性腫瘍予防に対する取り組み「中央西日本遺伝性腫瘍コホート研究」(以下「本コホート研究」)がスタートしました(2021年3月現在19施設)。今回、本コホート研究の概要やゲノム医療から生まれる新たな医療サービスの価値、産学共創を推進するなどの目的で、「中央西日本遺伝性腫瘍コホート研究キックオフシンポジウム」を3月25日、オンラインで開催しました。
 シンポジウムは岡山大学病院ゲノム医療総合推進センターの冨田秀太准教授がモデレーターを務め、オープニングでは那須保友(研究担当)理事・副学長が「Well-beingの価値を創出するための岡山大学の挑戦」と題して、岡山大学の経営改革のビジョンとともに0→1を生み出す産学共創の活性による新しい価値創造への挑戦を紹介。さらに本コホート研究が共創の場として一人ひとりが多様な幸せ(well-being)が実現できる社会のために寄与する期待について述べました。
 講演では、まず本学大学院医歯薬学総合研究科(医学系)の平沢晃教授が「遺伝性腫瘍コホート研究から展開する広域医療圏のゲノム医療」と題して、これまでの遺伝性腫瘍の研究の取組について、海外での事例も含めて紹介。遺伝情報を知ることで診断-予防-治療を通して確実に命を救うことができること、本コホート研究がwell-beingにつながる価値ある新たな取組である点を述べました。
 続いて特別講演では、国立がん研究センターの間野博行理事・研究所長・がんゲノム情報管理センター長が「がんゲノム医療の現状と今後の展望」と題して、がんゲノム医療の潮流と医療体制としてのがんゲノム情報管理センター(C-CAT)の取組などについて紹介。さらにがんに対してどの治療薬が効くのかを簡便かつ短期間に効率よく解析する手法である「MANO法」、「MANO-B法」についても紹介しました。
 シンポジウムのクロージングでは、佐藤法仁副理事(研究・産学共創担当)・URAが「ゲノム医療における産学共創の強化促進に向けて」と題して、わが国におけるがんゲノム医療を含めた研究開発の流れについて、その環境整備も含めて紹介。特に環境整備にはデータ駆動型研究を基盤としており、そのための数理・データサイエンス・AI人材の育成が急務である点について事例を挙げつつ説明しました。さらに本コホート研究が共創の場として産学官民、さまざまなステークホルダーが集まり、新たな医療サービスを創出するイノベーションの苗床となる期待などについて述べました。
 本シンポジウムには全国から600人を超える参加者がエントリーし、産学官さまざまな所属の方々が講演に耳を傾けました。質疑も盛んに行われ、本コホート研究への参加方法などについて質問もあり、今後の活動の発展を大いに期待できる内容でした。

○本コホート研究では随時、研究協力施設を募集しています。ご興味ご関心ある方々はお気軽にお問い合わせください。共にわが国にない新たなコホート研究という共創の場で、一人ひとりが多様な幸せ(well-being)が実現できる医療サービスを創出して行ければと思います。

○参考
中国・四国地方を中心とした広域医療圏が協力しての遺伝性がん予防の取り組み「中央西日本遺伝性腫瘍コホート研究」が始まりました(岡山大学プレスリリース 2020年12月17日)

【本件問い合わせ先】
学術研究院医歯薬学域(医) 臨床遺伝子治療学分野 教授 平沢晃
TEL:086-223-7151
E-mail:cgm◎okayama-u.ac.jp
※◎を@に置き換えて下さい。
HP:https://cgm-okayama-u.jp/

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