1月17日、本学学術研究院医歯薬学域(医)腫瘍微小環境学の冨樫庸介教授(岡山大学病院呼吸器・アレルギー内科教授兼任)が、内閣府の健康・医療戦略推進事務局が主催する「第7回日本医療研究開発大賞」において、「日本医療研究開発機構(AMED)理事長賞」を受賞。石破茂内閣総理大臣や城内実健康・医療戦略担当大臣らが参列するなか、首相官邸で行われた授賞式で、AMEDの三島良直理事長から表彰状が授与されました。
同賞は、我が国のみならず世界の医療の発展に向けて、医療分野の研究開発の推進に多大な貢献をした事例に関して、功績を称えることにより、国民の関心と理解を深めるとともに、研究者等のインセンティブを高めることを目的として、2017年度より実施されています。
今回、冨樫教授は「腫瘍浸潤リンパ球における新しいミトコンドリア異常の発見」についての業績が高く評価されました。がんの治療法のひとつに、がん細胞を攻撃する性質を持つT細胞の攻撃力を高める免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を使用することがあります。冨樫教授は、ICIの効果の鍵となるT細胞の中でも、腫瘍に浸潤しているもの(腫瘍浸潤リンパ球;TIL)を研究し、TILの機能低下のメカニズムには、がん細胞中の異常なミトコンドリアが関わっていることを世界に先駆けて解明しました。この研究成果は、ICIの効果向上に大きく貢献するものであり、若手研究者等を奨励する観点から顕著な功績があったと認められ「AMED理事長賞」を受賞しました。
受賞について冨樫教授は、「このような賞を頂いて大変光栄であるとともに、サポートいただいた方々にこの場を借りて大変感謝申し上げます。受賞を励みにしてさらに研究も頑張ってまいる所存です」とコメント。今後の研究活動に対しても意欲を見せました。
また本学の那須保友学長は「冨樫教授が若手研究者等を奨励するAMED理事長賞を受賞したことは、本学の研究力向上や強みあるヘルスケア分野の強化等においてもとても心強いことです。また、冨樫教授は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)『創発的研究支援事業』にも採択されており、本学のみならず我が国を先導する優秀な若手研究者のひとりです。さらに臨床家である医師としても基礎医学講座の教授に留まらず本学病院の呼吸器・アレルギー内科の教授を兼任しており、基礎・臨床という垣根を超えた教育・研究・診療を実践する秀逸な若手研究者のひとりです。これらの点は、若手研究者育成の観点からも周囲を含めて大きな力になると考えます。本学は研究大学としてさまざまな変革、挑戦を実施していますが、冨樫教授を含めた多くの研究者らがワクワクドキドキしながら研究等に専念できる環境の整備を絶えず進めていきたいと思います。引き続き、冨樫教授を含めた本学の若手研究者らへのご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます」とコメントしました。
本学では「岡山大学若手研究者支援パッケージ」を策定し、さまざまな独自の支援を戦略的に実施しています。大学の財政が厳しい中で必ずしも十分な支援を実施できているとは言えない点もありますが、優秀な若手研究者育成は本学のみならず、我が国の科学技術・イノベーション振興において、極めて重要です。今後も地域中核・特色ある研究大学:岡山大学として、冨樫教授ら優秀な若手研究者の育成と支援を続け、よりよい未来を社会に提供し続けていきます。どうぞ冨樫教授らの取り組みにご期待ください。
<参考>
・日本医療研究開発大賞表彰式(首相官邸)
・首相官邸にて、第7回日本医療研究開発大賞表彰式が開催されました(AMED)
【本件問い合わせ先】
学術研究院 医歯薬学域(医)腫瘍微小環境学分野 教授
岡山大学病院呼吸器・アレルギー内科 教授
冨樫庸介
TEL:086-235-7390
学術研究院医歯薬学域腫瘍微小環境学分野HP
血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科HP
冨樫庸介教授(医)が第7回日本医療研究開発大賞「日本医療研究開発機構(AMED)理事長賞」を受賞
2025年01月24日