地域中核・特色ある研究大学として経済を含めた安全保障に関わる研究活動の取り決めを整備・制定
2025年06月27日
本学は、「岡山大学における安全保障に関わる研究活動の取り決め」を作成し、6月11日の教育研究評議会での審議を経て、6月26日の役員会において決定しました。
本取り決めは、従来通り研究者の研究の自主性・自立性を尊重することを踏まえ、大学という組織が研究者らの活動を守るという視点に立ち、これまでの個々に対応していた事案や研究の取り組み等を、一元化したものです。
今回の取り決めの具体的な内容は、以下の5点です。
① 防衛装備庁「安全保障技術研究推進制度」に関する点
従来通り、事前の学内審査を経て申請を行うものとする。
② わが国以外の国・地域等の軍事組織およびその所管官庁・ファンディングエージェンシー等が実施している競争的資金に関する点
従来通り、事前の学内審査を経て申請を行うものとする。
③ わが国を含めた国・地域等の軍事・実力組織およびその所管官庁・ファンディングエージェンシー等が提供している学術発表の場に関する点
事前に情報を大学に通知することを義務づけ、場合により再考を依頼することができる体制とする。
④ 海外から受け入れる研究者、教員、留学生等に関する点
従来通り、海外から受け入れる研究者、教員、留学生等については、受け入れ前事前確認(国籍、所属大学・機関、職名、研究室、研究内容、研究指導者等の確認)を十分に行う。経済安全保障を含めた安全保障輸出管理上のリスクがある場合は受け入れの再考を依頼することができる。また、海外から受け入れた研究者、教員、留学生等が本学を離れる際は、本学から提供した安全保障輸出管理上の規制貨物等の持ち出しや規制技術を他に提供(技術データおよび技術支援)しないよう誓約書を徴取するなどの措置を講じる体制とする。
⑤ 共同研究等に関する点
従来通り、事前の学内審査を経て共同研究等の締結を行うものとする。
本学における研究活動は、「岡山大学研究ポリシー」を踏まえ、研究者の研究の自主性・自律性を尊重して進めることとしています。また、わが国に限らず世界情勢が急激に変化する中において、経済を含めた安全保障の諸対応も十分に配慮する必要があり、本学では「国立大学法人岡山大学における研究インテグリティの確保に関する規程」などに基づき実施しています。
また、本学では国内外の産学官民との協定(部局単位での協定を含む)においても、事前に研究インテグリティの審査を行い、リスクの洗い出しを行ったうえで、大学経営戦略会議において審議し、承認されたもののみ協定を締結しています。。
今回の取り決めについて、研究インテグリティ・マネジメント統括責任者を務める佐藤法仁副理事・副学長・上級URAは、「世界情勢が日々大きく変化する中で、大学を取り巻く環境も刻一刻と変化しています。その中において、研究者らの活動を大学がしっかり守ることをより明確にしつつ、わかりやすく一元化しました。リスクをきちんと把握し、より良い研究活動、研究環境を構築できるように進めていきます」と、今後の運用も含めてコメントしました。
今後も本学は、地域中核・特色ある研究大学として、しっかりと経済を含めた安全保障に関わる研究活動に対応できる大学運営を推進していきます。
〇那須保友学長のコメント
今回の取り決めは、他大学よりも踏み込んで、きちんと整備、制定しました。これら研究インテグリティは、デュー・ディリジェンス(Due Diligence)の概念も含めて、大学・研究機関のみならず、わが国全体において極めて重要だと認識しています。
本学ではこれまでも教育研究活動においてもERM(Enterprise Risk Management)の観点から、さまざまな取り組みを実施しており、その中で専門ノウハウを有する人材の育成も進んでいます。今後も地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)の採択大学として、本取り決めをしっかり運用し、わが国の研究力・イノベーション創出強化を担うことのできる研究大学として責任を果たしていきます。
【本件問い合わせ先】
研究インテグリティ・マネジメント統括責任者
副理事(研究・産学共創総括担当)・副学長(学事担当)・上級URA
佐藤法仁
E-mail:integrity◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています