本学が中心となって推進する岡山半導体研究教育推進委員会は、日本の製造業の未来を担う人材育成に注力しています。その一環として7月24日、学術研究院社会文化科学学域の西田陽介教授が担当する「経営戦略論Ⅰ」にて、企業講師によるゲスト講義を実施。経済学部、グローバル・ディスカバリー・プログラム(GDP)の2、3年生90人以上が熱心に聴講しました。今回の講義は、半導体部会の協力のもと、マイクロンメモリジャパン株式会社から秋山裕明氏(エルピーダメモリ株式会社元工場長)を招き、半導体を題材に、企業の技術経営戦略について、ケーススタディ形式で学びました。
秋山氏は、半導体・メモリ業界を牽引してきた42年間の企業人生と、経営に関する貴重な経験談を交え、モノづくり現場の生きた経営活動について語りました。講義では、半導体の全体像の説明に続き、秋山氏が自身の経験を赤裸々に語ることで、学生たちは半導体産業に関する理解を深めるとともに、経営の難しさと喜びを肌で感じることができた様子でした。
質疑応答では、学生の「日本の半導体メーカーがシェアを失ってきた時には、過剰品質も問題視されたとのことですが、現状は変わってきていませんか?」という質問に対し、秋山氏は、「その時々の応用用途に合わせたコストとのバランスが重要で、それこそがマネジメント」と答えました。また、「日本は設計力を鍛えるべきという意見もありますが、設計で新たにできることは?」という質問に対して、「設計力も重要だが、何を作るかのアイデア出しが課題であり、新しい市場にいち早く対応する舵取りこそが重要」と指摘しました。
学生からの質疑の内容を踏まえ、秋山氏はさらに、多様性の重要性や、グローバルな視点を持つことの必要性について、自身の経験に基づいた具体的な事例を交えて説明しました。
西田教授は、「学生にとって新鮮な学びの場になったと思います。モノづくり現場のリアルな声を聞くことで、より実践的な知識と視点を養うことができたはずです。今後もこのような取り組みを継続していきたいと考えています」とコメントしています。
岡山半導体研究教育推進委員会は、本学の研究者に加え、岡山県立大学、岡山理科大学といった半導体関連の教育・研究機関、中国経済産業局などの官庁、そして岡山県内外の半導体関連企業が一体となり、産学官連携のもとで半導体分野の研究と教育を推進しています。また、中国地域半導体関連産業振興協議会とも連携しながら、岡山地域を中心に半導体を軸とした研究・人材育成活動を継続的に展開していきます。
特に、岡山地域の大学学部生を対象とした単位互換講座「先端半導体テクノロジー入門」と、大学院生を対象にした「先端半導体テクノロジー講座」は、地域の方々も広く受講できる公開講座として開講を予定しています。
本学は今後も、半導体分野の教育と研究を強化し、次世代を担う人材の育成に貢献していきます。
【本件お問い合わせ先】
岡山大学 研究・イノベーション共創機構 研究企画戦略室 上級URA 佐藤浩哉
E-mail:ura-info◎okayama-u.ac.jp
※ @を◎に置き換えています。
モノづくり現場の声を学びに生かす!企業講師による実践的な講義に90人以上の学生が参加
2025年08月07日