国立大学法人 岡山大学

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「中四国・播磨ヘリウムリサイクルネットワーク」始動 ヘリウム回収実証実験を開始

2025年09月02日

 本学は7月10日と8月28日に、研究活動を支える限られた天然資源である液体ヘリウムのリサイクル促進と安定的な供給体制の構築を目的とした「中四国・播磨ヘリウムリサイクルネットワーク(通称:中四国・播磨HeReNet)」の一環として、ヘリウムガス回収の実証実験を行いました。実験は、技術職員、URA、学術コーディネーター、事務職員、研究者、企業の関係者が参加し、本学津島キャンパスの自然生命科学研究支援センター極低温室で実施しました。
 液体ヘリウムは、国内生産しておらず、全量を輸入に依存しています。しかし、コロナ禍や世界的な紛争等のさまざまな要因により、年々価格が高騰しています。その結果、多くの大学・研究機関では入手困難となり、研究現場に支障を来しています。一方本学は、ヘリウム液化装置を所有しており、学内利用者に液体ヘリウムを供給し発生したヘリウムガスを回収して再液化するシステムを構築しています。これにより、効率的なヘリウムの利用を実現しています。
 「中四国・播磨HeReNet」では、この取り組みを学外にも広げ、大学・高専等と連携し、発生したヘリウムガスをガスバッグで回収。さらに、圧縮機でガスボンベに詰め替えて本学に運ぶ仕組みを整備することで広域リサイクルの実現を目指しています。
 先に開催した学内向け説明会学外向け説明会に続き、リサイクルの実現にあたり連携機関の環境を再現した状況下での実証のため、7月10日にはフェーズ0セッション1として、ガスボンベからガスの回収実験を行いました。その結果、無事にガスボンベからのガス回収ができることを確認しました。また8月28日にはフェーズ0セッション2として、連携機関にてヘリウムガスを貯めた想定のヘリウムガス入りガスバッグを用意し、ガスバッグを圧縮機につないでガスボンベに詰め替える実験を行い、無事に詰め替えができることを確認しました。また、関係者とともに今回の実証フェーズについて意見を交換しました。
 本学のヘリウム液化装置は導入から15年以上が経過して老朽化が進んでいることから、文部科学省の支援を受けて2026年度末までに同装置および周辺設備の更新を予定しています。
 本学は、文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」(実施主体:日本学術振興会)に採択されており、その取り組みの一環として「イノベーション創出の知と技のメッカとなる」ことを掲げ、研究力強化のハブとなる取り組みを推進しています。ヘリウム液化装置は極めて高額な中規模研究設備であり、設備運用にコストと高度な技術人材を要するため、その整備は容易ではありません。地域の中核大学、そして研究大学である本学が「中四国・播磨HeReNet」を通じて、学内のみならず近隣の大学、高等専門学校、研究機関、企業等に液体ヘリウムを供給できれば、液体ヘリウムを使った研究・開発の裾野を大いに拡げることにつながり、ひいてはわが国の研究力向上・イノベーション創出強化等につながると期待されます。引き続き、本学と参画機関の挑戦に、どうぞご期待ください。

○「中四国・播磨HeReNet」で計画中の実証実験
フェーズ0:本学にて連携機関の環境を再現した実証実験
フェーズ1:連携機関にて発生したヘリウムガスを現地でガスボンベに回収する実証実験
フェーズ2:連携機関に少量の液体ヘリウムを運びつつ発生したヘリウムガスを回収する実証実験
フェーズ3:連携機関にフェーズ2よりも多くの液体ヘリウムを運びつつヘリウムガスを回収する実証実験

本学で行なうフェーズ0
セッション1:ガスボンベからのガス回収実験
セッション2:ガスバッグからガスボンベへ圧縮したヘリウムガスの回収実験
セッション3:研究設備から発生したヘリウムガスをガスバッグに貯めてガスボンベへ圧縮したヘリウムガスの回収実験
段階を分けて実験を行い、着実な取り組みが実現できるように計画しています。


<参考>
「中四国・播磨ヘリウムリサイクルネットワーク」始動に向け学内説明会を実施
「中四国・播磨ヘリウムリサイクルネットワーク」始動に向け学外説明会を実施


【本件問い合わせ先】
研究機器の共用の体制・整備等の強化促進に関するタスクフォース(略称:チーム共用)
機関連携部門
TEL:086-251-8705
E-mail:herenetoffice◎adm.okayama-u.ac.jp
     ※@を◎に置き換えています。

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