本学は8月30日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療産業等に結びつく成果を英語で情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」Vol.28を発行しました。
2012年より本学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年4回発行。国際科学雑誌「Science」を扱うAAAS(米国科学振興協会)のメーリングリストを利用し、世界の研究者等にニュースやトピックスを交えて配信し、本学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上を推進しています。
OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、強みある医療系分野の更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行。
本号では、大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学分野の藤原俊義教授らの、腫瘍融解ウイルスが骨肉腫に対する抗がん剤治療効果を増強する研究成果を紹介しています。
藤原教授、同研究科整形外科学分野の尾崎敏文教授、岡山大学病院新医療研究開発センターの田澤大助教らの研究グループは、腫瘍融解ウイルス「テロメライシン」が、がん細胞内のマイクロRNA-29を増加させ、細胞死を抑制するたんぱく質MCL1を阻害することで、骨肉腫に対する抗がん剤治療の効果を増強させる分子メカニズムを世界ではじめて明らかにしました。骨肉腫に対する抗がん剤治療は、治療効果がある場合に患者の生命予後の改善が期待されます。しかし、治療効果がない場合は生命予後の改善が得られないために抗がん剤の治療効果を増強させることが重要な課題となっています。今後、「テロメライシン」と抗がん剤を用いた治療法の臨床開発を進めていくことで、将来的に骨肉腫患者の生命予後を改善できる新しい治療法の実現が期待されます。
本学は、平成25年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術としてより早く届けられるように研究を推進していきます。
なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。
Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.28:Viral-based therapy for bone cancer
<参考:テロメライシン関係の研究リリース>
・「食道癌に対する腫瘍融解ウイルス『テロメライシン』の臨床研究 第1例目投与」(平成25年12月6日)
・「腫瘍融解ウイルス「テロメライシン」のがん幹細胞に対する抗腫瘍効果を証明」(平成25年12月18日)
・「がん細胞のリンパ節転移を完全に消去する新たな遺伝子改変ウイルス製剤を用いた治療法の開発」(平成27年2月2日)
・「食道がんに対する放射線治療を併用した腫瘍融解ウイルス 「テロメライシン」の臨床研究の中間報告(第I報)」(平成27年4月10日)
・「腫瘍融解ウイルスが骨肉腫に対する抗がん剤治療効果を増強」(平成28年6月30日)
<Back Issues:Vol.19~Vol.27>Vol.19:Study links signalling protein to osteoarthritis (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)窪木拓男教授)Vol.20:Lack of enzyme promotes fatty liver disease in thin patients (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)和田淳教授、中司敦子助教)Vol.21:Combined gene transduction and light therapy targets gastric cancer (大学病院香川俊輔准教授、大学院医歯薬学総合研究科(医学系)石田道拡医師)Vol.22:Medical supportive device for hemodialysis catheter puncture Combined gene transduction and light therapy targets gastric cancer (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)大原利章助教)Vol.23:Development of low cost oral inactivated vaccines for dysentery (大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)三好伸一教授)Vol.24:Sticky molecules to tackle obesity and diabetes (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)和田淳教授、村上和敏医師)Vol.25:Self-administered aroma foot massage may reduce symptoms of anxiety (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)江口依里助教)Vol.26:Protein for preventing heart failure (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)片野坂友紀助教)Vol.27:Keeping cells in shape to fight sepsis (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)西堀正洋教授)
<参考>
Okayama University e-Bulletin://www.okayama-u.ac.jp/user/kouhou/ebulletin/
【本件問い合わせ先】
広報・情報戦略室
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp
(16.09.07)