国立大学法人 岡山大学

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ヤマブドウ果汁を投与したマウスで肺発癌物質に起因する肺癌が有意に減少することを発見!

2021年06月30日

◆発表のポイント

  • マウス肺発癌実験で、ヤマブドウ果汁成分を水代わりに飲ませていたマウスでは、水を飲ませていたマウスと比べ、同じ量の発がん物質を投与しても、悪性腫瘍数は有意に少なく、2割のマウスは発癌しませんでした。
  • 複数の作用機構が総合的に働いて、ヤマブドウ果汁成分が肺癌抑制すると分かりました。

 岡山大学学術研究院医歯薬学域(薬)の有元佐賀惠准教授は、マウス肺癌モデルにて、ヤマブドウ果汁の部分精製品をマウスに水代わりに飲ませておくと、肺発癌物質による肺悪性腫瘍の発症数が有意に減少し、うち2割のマウスには悪性腫瘍が発生しなかったことを明らかにしました。また、その発癌抑制の作用機構は、ヤマブドウ成分の抗酸化効果による脂質過酸化抑制、ヤマブドウ成分によるDNA傷害防止とDNA傷害に対する修復促進による癌発症予防。加えて、増殖シグナル伝達阻害により、癌細胞の増殖を抑制すること、などであることを明らかにしました。
 これらの研究成果は6月1日、Elsevier(オランダを本拠とする国際的出版社)の雑誌「Food and Chemical Toxicology」(インパクトファクター4.679)のResearch Articleとして掲載されました。
 治療法の進歩により、癌は必ずしも死ぬとは限らない病気になりましたが、依然として日本人の死亡原因の一位です。癌発症が生活環境、特に食品・飲料・嗜好品などが大きく影響することが知られており、癌予防法解明への一歩となることが期待されます。
 この研究は岡山大学病院の木浦勝行教授、久保寿夫助教との共同研究です。

◆研究者からのひとこと

 癌予防を目指して、天然産物、特に果汁を研究してきました。日本で一番死亡数の高い肺癌を減らすのが念願です。まだ、マウスレベルですが、ヤマブドウ果汁で肺癌発症を抑えられて、念願の第一歩を踏み出した気持ちです。
有元准教授

■論文情報
論文名: Chemopreventive effects and anti-tumorigenic mechanisms of 2,6-dimethoxy-1,4-benzoquinone, a constituent of Vitis coignetiae Pulliat (crimson glory vine, known as yamabudo in Japan), toward 4-(methylnitrosamino)-1-(3-pyridyl)-1-butanone (NNK)-induced lung tumorigenesis in A/J mice
掲載誌: Food and Chemical Toxicology
著者: Sakae Arimoto-Kobayashi, Kensuke Sasaki, Ryoko Hida, Naoko Miyake, Nana Fujii, Yusuke Saiki, Kyohei Daimaru, Hirono Nakashima, Toshio Kubo, Katsuyuki Kiura
DOI: https://doi.org/10.1016/j.fct.2021.112319


<詳しい研究内容について>
ヤマブドウ果汁を投与したマウスで肺発癌物質に起因する肺癌が有意に減少することを発見!

<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(薬)
准教授 有元佐賀惠
(電話番号)086-251-7947 (FAX番号)086-251-7947

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