【プレスリリース】タマネギの動原体は、動き回っている〜染色体のE pur si muove〜
2025年06月18日
岡山大学学術研究院先鋭研究領域(資源植物科学研究所:大麦・野生植物資源研究センター)の長岐清孝准教授と学術研究院環境生命自然科学学域(農)の牛島幸一郎教授らの共同研究グループは、ネギ、タマネギ、ニンニクの多くの系統を用いたセントロメア(動原体の存在する染色体上の位置)の解析により、(1)タマネギのセントロメアが頻繁に移動していること、(2)ニンニクは、これまで報告された中で最大のセントロメアをもつことを明らかにしました。
これらの研究成果は6月10日、米国の植物科学雑誌「The Plant Cell」のResearch Articleとしてオンラインで公開されました。
セントロメアは、「くびれ」として染色体の形を表記する際のランドマークとして使われ、それぞれの種で固有の位置に存在し不動であると考えられてきました。ところが、本研究で、タマネギの動原体は移動し続けており、品種間のみならず、個体間でも違う位置に存在することが明らかになりました。この発見は、セントロメア研究分野において、地動説のようなインパクトを持ちます。高校生物の染色体観察の教材として馴染み深い生物に、このような新発見が隠されていたのは驚きです。
今後は、セントロメアが移動する原因や「他の生物では移動するのか?」、そして「ニンニクよりも大きなセントロメアをもつ生物はいるのか?」を明らかにしていきます。将来的には、セントロメアを人為的に動かすことによる品種改良も可能かもしれません。
詳細は、下記リンク先をご覧ください。