代謝物質の依頼測定について

代謝物質測定

岡山大学大学院発達神経病態学では、小児神経疾患の診断や病態解明のため種々の代謝マーカー物質の測定を行っています。特に、治療法の報告されている疾患は見逃さないよう 、本邦で充分な測定体制の整っていない代謝物質の測定法の構築を行っています。

測定の対象は、下記測定項目に記載してある疾患はもちろんのこと、原因不明のてんかん、発達遅滞等の神経症状を示す方の検体を受け付けています。

また、低ホスファターゼ症での血清ピリドキサールリン酸、ピリドキサールの診断・治療評価マーカーとしての意義に関する検討も行っています。

岡山大学倫理審査委員会で承認されています。測定ご希望の際には、お気軽にご相談ください。

注意:複数の試験管に分けた検体(例:髄液3本)が内訳の説明なしに届く場合があります。以下の情報を必ず症例調査票にご記載ください。

1. 同一検体を分注したものか否か。
2. 同一検体でない場合は、その説明(髄液の場合は採取分画)


また、保管スペースの都合上、複数試験管に分注された同一検体は全て融解・混合し、1.3~1.4mLを超える検体は余剰分を廃棄したうえで保存しています。予備の意味で送ってくださっているのかと思いますが、1mLもあれば充分余りますので、ご了承ください。

測定項目

測定項目と検体送付方法の詳細な説明は、こちらからダウンロードできます。

症例調査票等の書類一式については、お問い合わせください。

ピリドキサールリン酸(活性型ビタミンB6)、ピリドキシン、4-ピリドキシ酸

検体:血清(または血漿)、髄液 0.2 mL
検体採取・保存時の注意点:速やかに遮光し、凍結保存
アスホターゼアルファ製剤使用中は、速やかに遮光・冷蔵し、1時間以内に血清を分離して凍結保存
主な対象疾患:ピリドキシン依存症(ALDH7A1欠損症)、ピリドキサール依存症(PNPO欠損症)、高プロリン血症II型、低ホスファターゼ症、PLPBP(PROSC)欠損症
検査実績:ピリドキシン依存症低ホスファターゼ症PLPBP(PROSC)欠損症

5-メチルテトラヒドロ葉酸(活性型葉酸)

検体:髄液 0.2 mL、血清 0.5mL
検体採取・保存時の注意点:凍結保存
主な対象疾患:脳葉酸欠乏症、MTHFR欠損症
検査実績:FOLR1異常症(葉酸受容体α欠損症)Kearns-Sayre症候群(二次性脳葉酸欠乏症の1つ)メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)欠損症

モノアミン関連物質(HVA、5-HIAA、MHPG、3-O-メチルドーパ)

検体:髄液 0.2 mL
検体採取・保存時の注意点:髄液の最初の1 mL由来の検体(濃度勾配があるため)、血液が混入した場合、直ちに遠沈し上清のみ採取(酸化されるため)、凍結保存
主な対象疾患:神経伝達物質病(モノアミン合成経路の酵素欠損、ビオプテリン合成障害等)
必要に応じ、5-ヒドロキシトリプトファンの測定も行います。
検査実績:芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症瀬川病チロシン水酸化酵素欠損症セピアプテリン還元酵素欠損症

グアニジノ酢酸、クレアチン、クレアチニン

検体:尿 0.5 mL
検体採取・保存時の注意点:凍結保存
主な対象疾患:クレアチン代謝異常症
血清(または血漿)、髄液 0.2 mLで、グアニジノ酢酸の高感度測定が可能です。ご相談ください。
検査実績:グアニジノ酢酸メチル基転移酵素(GAMT)欠損症

ピペコリン酸

検体:血清(または血漿)、髄液 0.2 mL
検体採取・保存時の注意点:凍結保存
主な対象疾患:ピリドキシン依存症(ALDH7A1欠損症)、ペルオキシゾーム病
検査実績:ピリドキシン依存症

α-アミノアジピン酸セミアルデヒド(α-AASA)

検体:血清(または血漿)、髄液、尿 0.2 mL
検体採取・保存時の注意点:速やかに凍結保存(室温、冷蔵では不安定)
主な対象疾患:ピリドキシン依存症(ALDH7A1欠損症)、モリブデン補因子欠損症
検査実績:ピリドキシン依存症モリブデン補因子欠損症

セピアプテリン

検体:尿 1 mL、髄液 0.2 mL
検体採取・保存時の注意点:速やかに遮光、凍結保存(光、酸素で酸化される)
主な対象疾患:セピアプテリン還元酵素欠損症
検査実績:セピアプテリン還元酵素欠損症