OKAYAMA UNIVERSITY Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 病態制御科学専攻 腫瘍制御学講座 免疫学

  • 岡山大学 歯学部
  • (独)理化学研究所

研究室紹介

私たちの研究室は2011年4月1日にスタートいたしました。 今から岡山大学ならではのユニークな免疫の世界を構築していきます。自然免疫系の全体像が明らかになるに従い「免疫学的自己とは何か」という問いかけに対する答えは1980年代のそれとは180度転換しました。しかしこれが終着点でないことは明白です。私たちは、免疫の原動力を広い意味でのストレスと解釈します。自然免疫と獲得免疫の概念に加え、「タンパク質立体構造の変化=ストレス」から捉えた生体防御とホメオスタシスのしくみに光をあてます。分子の形、即ち構造は情報そのものであり、そのゆらぎを感知する新しい免疫システムが存在します。感知センサーは熱ショックタンパク質(heat shock protein:HSP)という分子シャペロンです。何故、HSPを増やすと生体にとって良いのか、免疫学的に分子レベルで明らかにしたいと思います。

また、新しく始めた腫瘍局所における免疫疲弊解除研究は国内外から注目を集めています。人類には感染症をワクチンで制圧した歴史があります。同様にがんをワクチンで治療しようという試みがなされてきましたが、効果は今のところ期待したほどではありませ。ワクチンにより患者の体内には癌細胞を殺傷できるキラーT細胞が増えてきますが固形がんは小さくなりません。 何故か? 腫瘍に浸潤したキラーT細胞は例外無くアポトーシスに陥り、多機能性を消失してしまうのです。私たちはこの免疫疲弊の問題を克服する研究を行っています。新しいがん免疫研究の幕開けです。

以上の研究に少しでも「わくわく感」を抱いた方は是非、当研究室までいらしてください。

(文責 鵜殿)

Stress Drives Your Immunity!

プロジェクト内容

1、内在性抗原提示の始動機構の全容解明。

リボゾーム合成蛋白の約3%は、何らかの理由により正常な3次元構造をとれず凝集しやすい。この蛋白分子をDefective Ribosomal Products (DRiPs)と呼ぶ。3%という数値は蛋白合成装置が如何にお粗末であるか、ということを示唆する一方で、この不完全さが免疫監視においては完全な意味をもつ。即ち、DRiPsはユビキチン—プロテアソームによりペプチド断片となり、MHCクラスIにてCD8+T細胞(キラーT細胞)へ抗原提示される。つまり、DRiPsは意図的に免疫をアラーミングするために具備されたと考えられる。 DRiPsをユビキチン化する特定のE3ユビキチンリガーゼは存在するのか、その分子は何か、そもそもどのようにしてDRiPsを識別するのか、について一連の分子機構を明らかにし内在性抗原提示の始動機構の全容解明を目指す。

2、クロスプレゼンテーション機構の全容解明。

外来性抗原は樹状細胞に貪食されエンドソームないしファゴソーム内にしばらく留まるが、その一部は小さな孔を通って細胞質へ移行する。抗原は本来の構造を維持できずヒモ状になって(DRiPs構造に近いかもしれない)孔を通過する。このとき細胞質Hsp90に抗原が認識され細胞質へ引っぱり出される。その孔は一体どのような分子から構成されているのか、そもそもどのようなメカニズムで外来性抗原だけを引っぱり出せるのかは不明である。この一連の分子機構を明らかにする。

3、免疫受容体の構成分子HSPの分子基盤と存在意義の解明。

がん細胞表面にはHSP90が存在する事はよく知られている。このHSP90はがんの浸潤、転移の際に重要な役割を果たしている。一方で樹状細胞(dendritic cells: DC)膜表面に存在するHsp90の存在はあまり知られていない。私たちは独自に作製したモノクローナル抗体でDC表面に存在するHSP90を発見した。この抗体はがん細胞膜表面のHSP90は検出できないが、DC上のそれは検出できるのである。つまりDC表面に存在するHSP90はがんのそれと存在様式が異なる可能性がある。DC上のHSP90はある受容体構成成分とし存在している可能性があり、その意義について解明する。

4、腫瘍局所における免疫疲弊解除研究。

免疫チェックポイント分子と呼ばれる免疫を負に制御する分子シグナルを如何に回避・克服するかという問題は「がんの免疫治療」において極めて重要な課題である。我々はII型糖尿病治療薬メトホルミンの経口投与が腫瘍内浸潤リンパ球(TIL)のCD8 T細胞の免疫疲弊(immune-exhaustion)を解除することを見いだした。CD8 TILは通常、IL-2, TNF, IFNの同時産生能(多機能性)を消失しており、さらに多くはAnnexin V陽性となりアポトーシスに陥っている。メトホルミンによりアポトーシス陽性率は激減、多機能性は回復し、腫瘍増大は一転退縮へと向かう。このマウスモデルを用い、免疫疲弊とその解除に係る細胞内外の分子メカニズムを明らかにする。さらに多くの臨床教室と連携してメトホルミンによる免疫疲弊解除に関する臨床研究を進めていく。

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