総サイロキシン, T4 (total thyroxine) 
平成14年3月31日まで院内検査
平成14年4月1日より外注(OML)
平成23年4月1日中止(受託実績僅少のため)


臨床的意義
 
甲状腺ホルモンであるT4(サイロキシン)は甲状腺のみで産生され、1日分泌量は約80μg(成人)である。血中T4の大部分(99.97%)は甲状腺ホルモン結合蛋白(TBG、アルブミン、プレアルブミン)に結合して、0.02〜0.03%のみが遊離型ホルモン(FT4)として存在する。T4は甲状腺機能を評価するために測定する。厳密には末梢における甲状腺ホルモン作用を評価すべきであるが、現在客観的で簡便なホルモン作用の指標はない。T4はTBGを含む結合蛋白が正常であることが前提であるが、それ以外ではT4、FT4いずれを測定しても甲状腺機能をほぼ正確に反映する。

異常値を示す疾患

高値 低値
甲状腺中毒症 甲状腺機能亢進症 T3製剤の過剰投与
 Basedow病、Plummer病、TSH産生腫瘍、胞状奇胎、絨毛上皮腫、新生児一過性甲状腺機能亢進症、下垂体型甲状腺ホルモン不応症 
亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎、甲状腺ホルモン製剤(T4または乾燥甲状腺末)の過剰投与
正常甲状腺機能 全身型甲状腺ホルモン不応症(一部)、家族性異常アルブミン血症、T4結合プレアルブミン過剰症、抗T4抗体、TBG増加(先天性、妊娠、エストロゲン投与、急性肝炎など) 妊娠後期、低T3・T4症候群、 T3製剤補充療法、TBG減少(先天性、ネフローゼ症候群、肝硬変、アンドロゲン服用など)
甲状腺機能低下症 甲状腺ホルモン不応症(全身型、末梢型) 原発性
先天性(形成異常、ホルモン合成酵素欠損、TSH不応症)
後天性(橋本病、特発性粘液水腫、術後、放射性ヨード治療後)
下垂体性(2次性)、視床下部性(3次性)
亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎の回復期

測定原理: 電気化学発光法(ECLIA法)(平成14年3月31日まで)

測定機器 : エクル−シス2010(平成14年3月31日まで)

測定試薬 : エクルーシスT4II(ロシュ)(平成14年3月31日まで)
         平成12年4月3日より変更

相関: y=0.8225x-0.1064 r=0.9528 (n=77) 
         y=
エクルーシスT4II(新試薬) x=エクルーシスT4(旧試薬)

(平成20年12月22日)



基準範囲: 4.29〜9.68 μg/dL (平成20年12月22日より
        
4.8〜11.2 μg/dl (平成16年4月1日より平成20年12月21日まで)外注
         4.5〜10.6 μg/dl (平成14年4月1日より)外注
                      5.1〜14.1 μg/dl (平成12年4月3日より平成14年3月31日まで)院内
            以前の基準範囲: 6.48〜12.73 μg/dl

小児の基準値
 出生後TSHの上昇に伴って上昇し、生後1週間では血中T4は6〜18μg/dlと高値となる。その後、1歳までに低下するが、それでもなお成人レベルよりは高値である。先天性甲状腺機能低下症をはじめとする新生児・乳児期の甲状腺機能の評価においては、この点に注意する必要がある。1歳以後も緩徐に低下を続け、思春期年齢に至って、ほぼ成人レベルとなる。

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

FreeT4
T3
FreeT3
TSH
放射性ヨード摂取率
TSH受容体抗体
抗マイクロゾーム(甲状腺ペルオキシダーゼ : TPO)抗体
抗サイログロブリン抗体

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