アミラーゼ, AMY(amylase)


臨床的意義
 血中・尿中アミラーゼは,そのほとんどは膵と唾液腺由来のものである。何らかの原因により膵液の流出が妨げられたり、膵管内圧上昇などが起こると逸脱が増加し血中・尿中で、酵素活性は増加する。この変化は、早期に起こり,病勢をよく反映するので,膵疾患のスクリーニング,早期診断,経過観察に役立つ。逆に高度に荒廃すると、酵素活性は低下する。しかし,アミラーゼは膵ばかりでなく唾液腺でも産生されるので、アイソザイム分析を行い由来臓器を推定する必要がある。

異常値を示す疾患
高値疾患: 急性膵炎・慢性膵炎の急性増悪期・ 唾液腺疾患 ・ 肝疾患 ・ アミラーゼ産生腫瘍 ・ マクロアミラーゼ血症 ・ 腎不全 ・ 高唾液型アミラーゼ血症 

低値疾患: 慢性膵炎の間欠期・ 高度な糖尿病 ・ 肝硬変

測定方法
酵素法(G7PNP・中検)
                    α−アミラーゼ
  5 エチリデン−G7PNP+5H2O -------------- 2エチリデン−G5+2G2PNP+2エチリデン−G4+2G3PNP+エチリデン−G3+ G4PNP     
                        αグルコシダーゼ
2G2PNP+2G3PNP+ G4PNP+14H2O------------ 5PNP+14G
 (G:グルコース)
生成するp−ニトロフェノール(PNP)の吸光度変化量を測定することにより、α−アミラーゼ活性を求めます。

注)酵素法においてG7PNPを基質として用いる方法以外に、G5PNP、BG7PNP、BG5PNPなどの基質を用いる方法があり、基質の違いにより測定値(基準値)が異なるので注意が必要である。

測定機器: 日本電子BM8040(血清)(平成26年3月24日より)
        
日本電子BM6050(尿)(令和2年7月13日まで)

        
日本電子BM2250(血清)(平成18年7月18日より平成26年3月20日まで)
        
日本電子BM1650(尿)

        
日立7350自動分析装置(血清)(平成18年7月14日まで)        
        
日立7070自動分析装置(尿)

測定試薬: セロテック(平成18年7月18日より)
        
ロシュ(平成18年7月14日まで)

基準範囲
血清:    44〜132 U/L (平成27年7月1日より共用基準範囲へ変更)
        
38〜125 U/L (試薬変更のため平成10年2月より平成27年6月まで)
         77〜234 U/L(平成10年1月まで)

随時尿:  480 U/L以下(参考値)(令和2年7月13日まで)

相関
血清
平成18年7月18日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=1.02X-2.63 r=0.999  n=200

尿
平成18年7月18日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=1.004X+0.58 r=0.999  n=200

平成10年2月
X=旧試薬
Y=現試薬
Y=0.503X-2.375   r=0.998

小児の基準値

 新生児では対成人値比が約0.15と低いが、その後漸増して、5〜7歳で成人値に達する。全年齢を通じて性差はない。

生理的変動
・血中アミラーゼは新生児ではほとんど認められず,5〜10歳でほぼ成人の値に達する。以後60歳ごろまで有意な変動はない。
・肥満よりもやせ型のほうが血中アミラーゼは約20%高く,同一人物でも減量により上昇傾向を示す。しかし,いずれも正常域内の変動である。

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

AMYアイソザイム
リパーゼ
エラスターゼ1

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