α−1マイクログロブリン, α1-m (α1-microglobulin)

測定法: ラテックス凝集免疫法
      
RIA2抗体法(平成16年3月31日まで)

外注会社:SRL(平成17年6月16日より)
        
SBS(旧住友)(平成17年6月15日まで)

臨床的意義
 
α1-マイクログロブリン(α1-m)は,分子量約30,000,糖含量約20%のタンパク質で,血中では低分子遊離型と高分子IgA型とがほぼ同率で存在している。α1-mは主に肝臓で産生され腎糸球体基底膜を容易に通過して近位尿細管より再吸収・異化され,正常ではほとんど尿中には排泄されない。よって尿を測定対象として尿細管障害,腎糸球体障害の局在・鑑別診断のマーカーとして利用される。血清での測定では,腎糸球体濾過能,肝機能の評価としても利用される。しかし,α1-mはIgAと共有,非共有結合をしており,IgA濃度の増加と血中からのクリアランスの低下により,その血中濃度は上昇するため,IgAの変動にも影響を受けやすいことから注意が必要である。

異常値を示す疾患
高値疾患(血中)
急性・慢性糸球体腎炎 ・ ネフローゼ症候群 ・ 慢性腎不全 ・ IgA増加症 ・ IgA型多発性骨髄腫 
高値疾患(尿中)
腎尿細管障害・機能低下(カドミウム中毒,移植腎,火傷,Fanconi症候群 
低値疾患(血中,尿中)
劇症肝炎 ・ 肝硬変症 ・ 肝切除 

基準値:血清 男性: 12.5〜25.5mg/L 女性: 11.0〜19.0mg/L
     尿   男性: 1.0〜15.5mg/L  女性: 0.5〜9.5mg/L

平成16年3月31日まで
    
血清 男性: 14.8〜33.0mg/l 女性: 11.4〜31.0mg/l
     尿   男性: 10.8mg/l以下  女性: 6.9mg/l以下

採取容器 血液:茶)生化学一般用分離剤入り試験管    尿:SRL(Y

検体採取・測定条件
・採血は早朝空腹時に行い,血清分離後凍結保存をする。
・尿は冷暗所にて蓄尿し,その一部を凍結保存し提出する。

生理的変動
・男性の値の方が女性の値より高く,日内変動は認めない。(β2 microglobuinと異なる)

関連項目

クレアチニン(CRTN)
β2−マイクログロブリン 
NAG 
RBP 

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