β2-マイクログロブリン, β2-m(β2-Microgrobulin) 

臨床的意義
 
β2マイクログロブリンは99個のアミノ酸からなる非糖低分子蛋白で、HLA class IのL鎖としてH鎖と非共有結合し、赤血球を除く全身の有核細胞表面に広く存在分布し、特にリンパ球、単球などには豊富に存在して免疫応答に重要な役割を果たす。細胞表面から分泌されると、腎糸球体基底膜を通過し、そのほとんどが近位尿細管から再吸収・異化を受ける。異常病態では血清濃度は増加する。AIDSではCD4陽性細胞の減少によりCD8細胞(HLA class I細胞)が相対的に増加し、ここから産生されるインターフェロンγの作用により全身の細胞からのβ2-mの産生の増加が血清濃度を押し上げると推定されている。唾液中の測定は、Sjogren症候群の補助診断に、髄液中は白血病細胞のCNSへの浸潤の鑑別補助診断や治療効果の判定を目的に、腹水中での増加の有無から悪性・良性の鑑別などにも利用される。

高値疾患: 骨髄種、慢性リンパ性白血病、悪性リンパ種、単球性白血病、慢性骨髄性白血病、原発性肝臓癌、肺癌、大腸癌、乳癌、AIDS

測定法: ラテックス凝集法(栄研化学)
      
RIA法(平成17年3月25日まで核医学診療室)

測定機器:  日本電子BM6050(平成26年3月24日より)

日本電子BM1650(平成18年7月18日より)

        日立7170自動分析装置(平成18年7月14日まで)

相関
血清
平成18年7月18日
X=旧機器
Y=新機器
Y=0.999X+0.156 r=0.999  n=200

尿
平成18年7月18日
X=旧機器
Y=新機器
Y=0.833X+0.231 r=0.953  n=200

平成17年3月25日
 RIA法との相関(血清) y=0.950x+0.05 r=0.993 n=105  
 
RIA法との相関(尿)   y=1.060x+0.30 r=0.989 n=110

基準値:  血中 0.90〜2.00mg/l     尿中  0.290mg/l未満
       
血中 1.9 mg/l 以下    尿中  0.004〜0.37mg/l(平成17年3月25日まで)

小児の基準値
 血清のβ2ーMの測定値は生後5、6日頃までは成人の約2倍あり、それから徐々に減少し1歳では成人のほぼ1.5倍程度で8歳頃までに成人の値に近づく。

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

クレアチニン(CRTN)
尿素窒素(UN)
α1−マイクログロブリン
クレアチニンクリアランス

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