心筋トロポニンT, Troponin T(TnT)
平成20年10月9日より外注BML
平成25年7月3日より院内実施


外注会社:BML

臨床的意義
 
心筋は筋原繊維の集合体で、筋原繊維はIフィラメントとAフィラメントから構成されており、ミオシンはこの太いAフィラメントを形成している。そして細いIフィラメントはアクチン、トロポミオシン、およびトロポニンから構成され、トロポニンはさらにトロポニンT,トロポニンCおよびトロポニンIの3成分からなっている。トロポニンは心筋の構造蛋白で筋収縮のキーポイントであるカルシウムの活性化に関与し筋収縮機能を調節している。トロポニンTは心筋と骨格筋でアミノ酸組成が異なっており、これを利用して免疫学的手法で心筋特異性トロポニンTを測定している。急性心筋梗塞でのトロポニンTは、発作後13〜14時間で最高値をとり、その後漸減し40〜55時間でなだらかなピークを形成してゆっくり減少し、正常化するのは10日前後である。トロポニンTは筋肉細胞内で6%前後が可溶性の状態で存在し、残りは細いIフィラメントの構成成分として不溶性な状態で存在する。心筋梗塞がおこると、まずこの可溶性のトロポニンTが血中に流出し、続いて組織の破壊のために不溶性のトロポニンTが血中に出現する。この可溶性のトロポニンTの流出は、冠状動脈の閉塞の持続時間に左右され、再潅流が早ければ早いほどその流出量も多くなる。そしてこの流出は通常、発症後32時間ころで終了するとされている。この流出の特徴を考慮して、発症後14時間と32時間後のトロポニンTの比をとり、再潅流の指標としている。すなわち、この比が1以上である症例は14時間付近での流出トロポニンTが多く、早期に再潅流が起こったことが推測可能であり、逆に1以下であれば流出トロポニンTが少なく、しかも組織破壊による不溶性のトロポニンTが多量に出現することで再潅流が行われておらず、予後は不良である。

高値疾患: 
心筋梗塞

測定方法: 電気化学発光免疫測定法(ECLIA法)

測定機器: コバス8000(平成29年5月8日より)
        Eモジュール(平成25年7月3日より平成29年5月2日まで)
        Eモジュール(平成18年7月18日より平成20年10月8日まで)
        エクルーシス2010(平成18年7月14日まで)

測定試薬:エクルーシストロポニンT hs STAT(平成22年4月1日より)
       
エクルーシストロポニンTIII(ロシュ)(平成22年3月31日まで)
        平成12年4月3日より変更

相関
平成29年5月8日
X=旧機器
Y=新機器
Y=0.987X+0.004 r=1.000  n=108

平成22年4月1日(BML提供)


平成18年7月18日
X=旧機器
Y=新機器
Y=1.13X-0.02 r=0.970  n=12

平成12年4月3日 
 x=
エクルーシストロポニンTII(旧試薬)
y=
エクルーシストロポニンTIII(新試薬)
 0.25ng/ml以下:y=0.974x+0.0031 r=0.984 (n=254)
   25ng/ml以下:y=0.471x+0.24   r=0.989 (n=828)


従来法(TnI)との一致率(平成25年7月3日)

     

基準値:  0.014 ng/mL以下(平成22年4月1日から)(急性心筋梗塞診断のカットオフ値:0.100ng/mL)
       
0.10 ng/ml以下(平成20年10月9日から平成22年3月31日まで)
       
0.010 ng/ml以下(平成20年10月8日まで)

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

心筋トロポニンI
心筋ミオシン軽鎖T
ミオグロビン(Mb)

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