エストラジオール, E2 (estradiol )


臨床的意義
 エストロゲンは、代表的な女性性ステロイドホルモンであり、標的臓器の細胞質内レセプターと結合して作用する。エストロゲンとしては多種確認されているが、エストロン、エストラジオール、エストリオールの3つが主である。このうち、生理活性の最も高いエストラジオールが重要となる。エストラジオールは、主として卵巣から産生され、卵胞発育に伴い特徴的な分泌パターンを示し、妊娠中は胎盤性エストロゲンの一部として、思春期、不妊症、更年期、閉経婦人における卵巣機能の評価として重要な意味をもつ。

測定方法: 電気化学発光免疫測定法(ECL―IA)競合法(高感度測定法に変更)
        蛍光酵素免疫測定法(平成10年2月から平成10年10月31日まで)

測定原理
電気化学発光免疫測定法(ECL―IA)競合法による。
1) 検体とビオチン化抗E2抗体を加え反応させる。
2) Ru(bpy)32+標識E2、ストレプトアビジンコーティング磁性マイクロパー ティクルを加え反応させる。
3) 反応混合液を測定セルに吸引し、磁力によりSA磁性MPを電極に引き付ける。
4) トリプロピルアミンを吸引し、未反応の Ru(bpy)32+標識E2を除去する。
(B/F分離)
  SA磁性MPに結合しているRu(bpy)32+標識E2のRu(bpy)32+は、電極への電荷による酸化と、トリプロピルアミンでの還元反応により励起発光を繰り返します。所定時間での発光強度を光電子増倍管で測定する。
5) 同様の操作をしたキャリブレーターの発光強度から、検体中のエストラジオール濃度を算出する。

測定機器:  コバス8000(平成29年5月8日より)
         Eモジュール(平成18年7月18日より平成29年5月2日まで)
         エクルーシス2010(平成18年7月14日まで)

測定試薬: エクルーシスE2-II(平成13年11月1日(木)より)

相関
平成29年5月8日
X=旧機器
Y=新機器
Y=0.974X+1.554 r=0.999  n=100

平成27年9月11日



平成18年7月18日
X=旧機器
Y=新機器
Y=0.94X-0.13 r=0.998  n=61

平成13年11月1日
旧試薬:エクルーシスE2(製造中止)
相関:y=1.297x-6.90(x=旧試薬、y=新試薬)
    r=0.993(n=97)
*変更試薬の特徴
SHBGと結合しているE2を遊離させるための置換剤がDHTからMesterolonに変更され、E2の遊離率が改良されています。それによって抗体添加量を最小限に抑えることにより感度の向上が図られています。検出感度5pg/mL (旧10pg/mL)


基準値
平成27年9月11日から

新試薬 E2W(国内)*

性別

n

E2濃度(pg/mL)

中央値

2.597.5パーセンタイル*

又は

平均値±1.96SD**

男性

100

27.1

14.648.8**

女性正常月経

卵胞期

95

50.8

28.8196.8*

排卵期

78

185.6

36.4525.9*

黄体期

78

163.1

44.1491.9**

女性閉経

閉経後

89

5.0

47.0以下*

(=上側97.5%点)

女性妊婦

初期
4
0日〜13
6

84

921.4

208.54,289**

中期
14
0日〜276

53

10,220

2,808〜28,700**

後期
28
038

38

22,610

9,87531,800*


平成13年11月1日より平成27年9月10日まで

卵胞期  25〜195 pg/mL
排卵期  66〜411 pg/mL 
黄体期  40〜261 pg/mL
閉経後  40 pg/mL以下
男性  14〜60 pg/mL

能書引用


平成13年10月31日まで

卵胞期  25〜195 pg/ml 
排卵期  66〜411 pg/ml 
黄体期  40〜261 pg/ml 
閉経期  10 pg/ml 以下
妊娠第1期  786〜4584 pg/ml 
妊娠第2期  801〜5763 pg/ml 
妊娠第3期  1810〜13890 pg/ml 

小児の基準値
 
男子も女子も、新生児期には母親と同様に高値を示すが、徐々に低下し、3ヶ月以降思春期までは、感度以下の低値を示す。女子は思春期に上昇し、成人女性のレベルに達する。男子も思春期に上昇するが、女子よりは明らかに低い。

異常値を示す疾患
高値: エストロゲン産生腫瘍・卵巣過剰刺激症候群・副腎皮質過形成

低値: 無月経・卵胞発育障害・黄体機能不全

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

保存:遠心分離後凍結または冷蔵

関連項目

黄体化ホルモン(LH)
卵胞刺激ホルモン(FSH)
プロラクチン
プロゲステロン
E1
エストリオール(E3)

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