脂肪酸分画

測定法:Gas-chromatograph法

外注会社:SRL

臨床的意義
 食事中に入る脂肪酸はリノール酸を代表とするω6系と,エイコサ ペンタエン酸(EPA)を代表とするω3系に大別できる。ω6系の脂肪酸は陸生食物より作 られ,ω3系は,海藻類やプランクトンで作られ,これを食べる魚に多く含まれる。リノー ル酸と同一系に属すアラキドン酸(AA)などよりプロスタノイドが生成され,これが体内活性 物質として生体内機能維持に重要であることが明確にされている。プロスタノイドの産生は, 3ルートが判明しており,それぞれのプロスタグランディンが性質を異にして生体の機能調節に 関与している。脂肪酸には代謝系列としてω3,ω6,ω7,ω9系があり,ω3,ω6系は必須脂肪 酸である。必須脂肪酸欠乏状態においては,リノール酸(C18:2ω6)およびそ の誘導体のアラキドン酸,その他のω6系が減少する。オレイン酸(C18:1ω9)およびそ の誘導体で正常時ほとんど検出されない5.8.11-エイコサトリエン酸が増量する。又,血栓 性疾患でω6系,出血性疾患でω3系が高値を示し,又アレルギーではω3系が低値を 示す。よってエイコサペンタエン酸(C20:5ω3)とアラキドン酸(C20:4ω6)のEPA/AA 比を見ることにより,血栓症,出血性疾患動脈硬化症の診断・予防に役立ち,また5,8,11-エイコサトリエン酸とアラキドン酸(C20:4ω6)のT/T比は必須脂肪酸欠乏の指標となる。その他癌においてもω6系の発癌促進効果,ω3系の抑制効果が注目されている。

異常値を示す疾患
高値疾患: 必須脂肪酸欠乏(T/T) ・ 出血性疾患(EPA/AA)

低値疾患: 血栓性疾患(EPA/AA)

基準値:

検体採取・測定条件
・採血は早朝空腹時に行い,すみやかに血漿分離を行う。
・検体は測定時まで凍結保存をする。

生理的変動
・食事の影響が強く反映される為,日頃の食生活の情報が貴重で ある。

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目

総コレステロール(TCHO)
トリグリセライド(TG)
リン脂質(PL)

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