総コレステロール, TCHO ( total cholesterol )


臨床的意義
 
コレステロールは,リン脂質とともに細胞膜の構造脂質として重要な物質であり,またステロイドホルモン産生の原料などとなる。主に肝臓で生合成され,VLDLに組み込まれて末梢に運ばれ,代謝され生成したLDL中の主な脂質成分となっている。正常人ではLDL中にもっとも多く含有され,一部は,末梢から肝へのコレステロール逆転送に関与するHDL中に存在している。血清コレステロール値は食物からの摂取,体内での生合成,胆汁酸や中性ステロールとして体外への排出という三者のバランスにより保たれている。コレステロールの測定は,肝臓での合成・分泌の状態,胆管閉塞,腸管での吸収や栄養状態の一つの指標となり,また各種脂質代謝の異常の解明や動脈硬化の危険性の予知にも有用である。

測定方法: 酵素法

測定原理: 第一反応(前処理)としてアスコルビン酸オキシダーゼによる検体中のアスコルビン酸の除去とコレステロールオキシダーゼによるエステル型コレステロールの加水分解を行う。第二反応でコレステロールオキシダーゼとパーオキシダーゼの作用によりキノン系色素に導き総コレステロールを定量する。

第一反応      AOD
2・アスコルビン酸-------->2・デヒドロアスコルビン酸+2H2O
                    CHER
エステル型コレステロール+H2O---------->遊離型コレステロール+脂肪酸

第二反応             CHOD
遊離型コレステロール+O2------------>コレステノン+H2O2
               POD
2H2O2+4-AA+EMSE-------------->赤紫色キノン色素+4H20


測定機器: 
日本電子BM8040(平成26年3月24日より
        日本電子BM2250(平成18年7月18日より平成26年3月20日まで)
        日立7350自動分析装置(平成18年7月14日まで)

測定試薬: 協和メディクス(平成22年5月12日より)
                 第一化学(平成18年7月18日より 平成22年5月11日まで)
                 協和メディクス(平成18年7月14日まで)

相関
平成22年5月12日

平成18年7月18日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=0.99X-2.91 r=0.999  n=200

基準範囲: 142〜248 mg/dL(平成27年7月1日より共用基準範囲に変更)
        
130〜220 mg/dL(平成12年4月1日より平成27年6月まで岡山県医師会の判定基準を採用)
                    
以前の基準範囲は統計結果よる

125〜259 mg/dl 平成6年9月〜平成12年3月まで (相関: Y=1.038X+0.119 X:従来法)
110〜267 mg/dl 平成6年8月まで(日立736分析装置)

動脈硬化学会基準

コレステロール値適正域 200mg/dL未満
コレステロール境界域 200〜219mg/dL
高コレステロール血症 220mg/dL以上

小児の基準値 
小児期の年齢変化は、新生児期では成人の半分以下の値で、生後5〜6日で約2倍(成人の約80〜90%)となりその後5ヶ月位まで徐々に増加しほぼ成人の値となる。その後はほとんど変化がない。

異常値を示す疾患
高値: 家族性高コレステロール血症・家族性複合型高脂血症・甲状腺機能低下症・糖尿病 ・肥満症
 
低値: βリポ蛋白欠損症・低βリポ蛋白血症・LCAT欠損症・甲状腺機能亢進症

採取容器:
茶)生化学一般用分離剤入り試験管
 
関連項目

トリグリセライド(TG)
LDL−コレステロール
HDL−コレステロール
リポ蛋白分画
アポリポタンパク

先頭に戻る    前ページに戻る