中性脂肪・トリグリセライド, TG (Triglycerides)


臨床的意義
 
中性脂肪(TG)はグリセリンの脂肪酸エステル(トリアシルグリセロール)である。 血中TGは各種リポ蛋白のコアに組み込まれた形で運ばれる。リポ蛋白はカイロミクロン(CM),超低比重リポ蛋白(VLDL),中間比重リポ蛋白(IDL),低比重 リポ蛋白(LDL),高比重リポ蛋白(HDL)に分画され,CMとVLDLがTGに富む。CMは外因性(食事由来)TGを,VLDLは内因性(肝合成)TGを転送する。CM,VLDL中のTGは,リポ蛋白リパーゼ(LDL)により脂肪酸とグリセロールに水解され,VLDLはIDLを経て,肝性TGリパーゼ(HTGL)により異化代謝されLDLとなる。血中TGは各種の原発性・続発性高脂血症で異常値を示し,その測定がこれらの病態の診断や治療に有用である。

測定方法: 酵素法(グリセロール消去法)

測定機器: 日本電子BM8040(平成26年3月24日より
        日本電子BM2250(平成18年7月18日より平成26年3月20日まで)
        日立7350自動分析装置(平成18年7月14日まで)

測定試薬: 協和メディクス(平成22年5月12日より)
                  第一化学(平成18年7月18日より 平成22年5月11日まで)
                  協和メディクス(平成18年7月14日まで)

相関
平成22年5月12日

平成18年7月18日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=0.97X+5.86 r=0.999  n=200

基準範囲 : 男 40〜234 mg/dL  女 30〜117 mg/dL(平成27年7月1日より共用基準範囲へ変更)
          40〜150 mg/dL (岡山県医師会の判定基準の改定により変更:平成16年4月1日より平成27年6月まで)                  50〜150 mg/dl (平成12年4月1日より岡山県医師会の判定基準に変更)
                    以前の 基準範囲は統計結果よる。

17〜198 mg/dl 平成6年9月〜平成12年3月まで (相関: Y=1.076X+2.149 X:従来法)
38〜175 mg/dl 平成6年8月まで(日立736分析装置)

動脈硬化学会基準: 150mg/dL 以上を異常値としている。

小児の基準値 
小児期の年齢変化は新生児期では30mg/dLとたいへん低値で、生後5〜6日で4〜5倍となっているが、その後30日位までやや低い。

異常値を示す疾患
高値: 家族性高リポ蛋白血症(WHO分類:I,IIb,III,IV,V型) ・糖尿病 ・動脈硬化症 ・急性および慢性膵炎 ・ネフローゼ症候群

低値: βリポ蛋白欠損症 ・Addison病 ・バセドウ病 ・重症肝実質障害

採取容器:
茶)生化学一般用分離剤入り試験管
 
関連項目

総コレステロール(TCHO)
遊離脂肪酸(FFA)
LPL
リポ蛋白分画
アポリポタンパク

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