ビタミンD, VD(Vitamin D) 25-dihydroxyvitamin D

令和2年11月25日より院内導入
外注会社:LSIM(令和2年11月24日まで)

臨床的意義
ビタミンDは、主として日光への暴露により皮膚で産生される脂溶性のステロイドホルモン前駆体である。 生物学的には不活性なビタミンDがホルモン活性のある活性型ビタミンD(1,25(OH)2D)へと変化するには、 肝臓および腎臓で連続して水酸化される必要がある。主要なビタミンDにあたるビタミンDS(コレカルシフェロール)とビタミンD2(エルゴカルシフェロール)のうち、 ビタミンD2はビタミンDSと異なり体内で合成できないため、食品もしくはサプリメントとして摂取するより他ない。
ビタミンDSやビタミンD2は血漿中ではビタミンD結合タンパク質と結合しており、肝臓に輸送されると25位が水酸化されたビタミンD、すなわち25(OH)Dへと変化する。 25(OH)Dは生体内におけるビタミンDの主要な貯蔵形態であることから、全身のビタミンD状態を表す代表物質として広く認められている。 25(OH)Dは血中を循環するビタミンDの主要な形態で生物学的には不活性、血液濃度は活性型ビタミンDのほぼ1,000倍、血中半減期は2〜3週間である。血清中の25(OH)Dの大部分は25(OH)DSであるのに対し、 25(OH)D2が測定可能な濃度域に達するのはビタミンD2サプリメントを服用している患者に限られ、その影響は比較的に小さいと考えられる。
ビタミンDは骨の健康にとって不可欠である。深刻な欠乏症は小児において、くる病として知られる骨の奇形を引き起こす。より軽度の不足は、食事由来のカルシウム利用効率を低下させる。 ビタミンD欠乏は筋力の低下を引き起こし、高齢者においては転倒リスクにつながる。 ビタミンD欠乏は二次性副甲状腺機能亢進症の一般的な原因であり、特にビタミンD欠乏状態にある高齢者において、PTH値の上昇は骨軟化症、高骨代謝回転、骨量減少及び骨折リスク上昇を招く可能性がある。 また、25(OH)Dの低下は低骨密度と関連することから、その測定結果は骨代謝評価の補助に利用される場合がある。 さらにビタミンDは200以上の異なる遺伝子の発現に影響することと、ビタミンD不足は糖尿病、各種の癌、心血管疾患、自己免疫疾患、先天性の免疫能と関連することがこれまでに示されている。

 

異常値を示す疾患
[低値]
くる病、骨軟化症、骨粗鬆症、ビタミンD欠乏症

測定法:ECLIA法(令和2年11月25日より)
    CLIA法(令和2年11月24日まで)

測定機器:cobas8000(e801)(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)(令和2年11月25日より)

測定試薬:エクルーシス試薬 ビタミンDトータルU(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)(令和2年11月25日より)

基準値: 設定せず

臨床診断値
ビタミンD充足状態:30ng/mL
ビタミンD不足  :20ng/mL以上30ng/mL未満
ビタミンD欠乏  :20ng/mL未満

相関
y=エクルーシス試薬 ビタミンDトータルU、x=外注(リエゾン25水酸化ビタミンDトータル)
y=0.95x+0.93  r=0.90  n=108

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目
カルシウム(Ca)
骨塩定量
オステオカルシン
カルシトニン
副甲状腺ホルモンintact/高感度/C末端
  

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