I型コラーゲン架橋N-テロペプチド, NTx(type I collagen cross-linked N-telopeptide)


測定方法
 EIA法

外注会社: LSI(腫瘍マーカー)  BML(骨粗鬆症)(平成15年3月31日まで大塚)

基準範囲(尿中濃度)

骨吸収亢進の指標  55nmoL BCE/mmoL Cr以上
副甲状腺摘出術の適応 200nmoL BCE/mmoL Cr以上
悪性腫瘍の骨転移の指標 100nmoL BCE/mmoL Cr以上

※ BCE:Bone Collagen Equivalents (骨コラーゲン相当量) 

臨床的意義
 
I 型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)は、骨基質の主要構成蛋白である I 型コラーゲンの分解産物である。骨の I 型コラーゲン分子間は両端のテロペプチド領域を中心に、ピリジノリンある
いはデオキシピリジノリンと呼ばれる物質を介して安定な架橋構造を形成している。骨吸収により分解生成する I 型コラーゲンのペプチド断片にはこの架橋構造部分が含まれ、骨組織から血中を経て、最終的に尿中に排泄されるコラーゲン分子N-末端側由来の産物がNTxである。ピリジノリン架橋構造は成熟コラーゲン線維にのみ存在し、その量は骨基質量に相関することから、NTxの尿中排泄量は骨吸収状態の有用な指標となる。実際、骨吸収亢進をきたす種々の代謝性骨疾患では尿中NTxが高値を示すことが知られている。ただし、悪性腫瘍の骨転移のcut off値(100 nmoL BCE/mmoL Cr)は診断特異性を重視して高めに設定されているため、骨転移例における陽性率としては20〜30%である。したがって、尿中NTx値が骨吸収亢進を意味する“55 nmoL BCE/mmoL Cr 以上”である場合には骨転移の可能性を考慮して1〜3カ月後に再検査し、NTx値の変化の有無を確認することが望ましい。また、骨粗鬆症における骨吸収抑制剤投与後の尿中NTx排泄量の経時的変化は薬剤の治療効果を反映し、骨塩量増加群では有意に低下する。こうした骨吸収抑制剤に対する反応性は他の骨吸収マーカーに比べても鋭敏であり、NTxのモニタリングマーカーとしての意義が高く評価されている。なお、骨格の発育を受けて代謝回転が活発な20歳未満の成長期、骨吸収が亢進する閉経後女性ではいずれもNTxが高値となる。 

異常値を示す疾患 
高値疾患: 癌の骨転移(肺癌、乳癌、前立腺癌)・原発性副甲状腺機能亢進症・甲状腺機能亢進症・骨Paget病・末端肥大症

試験管: LSI(25 (腫瘍マーカー) BML(U1 (骨粗鬆症)

関連項目

骨塩定量
オステオカルシン
I 型コラーゲンCテロペプチド(1CTP)
I 型プロコラーゲン-C-ペププチド(P1CP)
前立腺特異抗原
デオキシピリジノリン(Dpyr)

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