ごあいさつ

 
 がんなどの悪性腫瘍に対する治療が進歩し,多くの人々の生命が救われるようになっています.しかし,治療のために卵巣や精巣の機能が低下し,女性ホルモンや男性ホルモンの分泌が低下して更年期様の症状が発生したり,卵子や精子がなくなり不妊になったりする例もあります.
 がんなどの悪性腫瘍であることを告げられた方やその家族にとっては,病気の程度や治療法などの医学的な情報のみではなく,ご本人が学生であればその後の学校生活のこと,社会人であれば仕事のこと,また,治療費など経済的なことなど,多くの情報を効率よく得て,短時間で判断していく必要があります.
 その中の1つとして,将来の妊娠に関する生殖機能・妊孕性(にんようせい)や性生活などに関する性機能のことがあります.しかし,そのような情報を得たり,疑問に対して相談に乗ってくれたりするための体制の構築は遅れています.

 この度,がんなどの悪性腫瘍であることを告げられた方やその家族を支援したいと考える生殖医療や性機能に関わる産婦人科医,各種のがんなどの悪性腫瘍を治療する内科医,外科医,さらには,看護師,助産師,心理師などが集まり,ネットワークを形成しました.
 まだまだ,十分とは言えませんが,今後,少しずつ,ネットワークの輪を広げ,より深い支援をしていきたい,また,岡山県および周辺の地域における課題を解決して行きたいと考えています.



2016年9月1日
岡山大学病院産科婦人科
岡山県不妊専門相談センター
岡山大学生殖補助医療技術教育研究(ART)センター
岡山大学大学院保健学研究科

中塚幹也