岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 病理学 腫瘍病理第二病理|Department of Pathology Okayama University

Graduate School 入局者募集

研修プランについて

病理研修の目標

病理医が医療において果たす役割は大きく、特に病院に勤務する病理医は臨床チームの一員として診療の一翼を担うことが期待されます。岡山大学病理学(腫瘍病理/第二病理)ではこのような役割を積極的に果たすことが出来る病理医の育成を目指しています。また、病理学研究を遂行できる能力も身に付けていきます。

研修プランとしては、大学院に入学するコースと関連施設の後期研修医として入局するコースがあります。後者については各施設によって異なりますので、以下に大学院に入学するコースについて説明します。

大学院入学後5年目までの間の具体的な到達目標

  • (1)病理標本を適切に取り扱うことができる。
  • (2)指導者の下で生検、手術材料の病理診断ができる。
  • (3)自ら病理解剖を執刀し、病理解剖診断をつけ、CPCで病理医として症例提示する。
  • (4)基本的な疾患について細胞診の判定を行える。
  • (5)病理標本を用いた研究に必要な手技を自ら行える。

病理解剖の指導は、主に大学院講座が担当します。大学院生が執刀する症例については指導医が検閲として加わり、執刀から診断までを指導します。

また、組織診断、術中迅速診断、細胞診の全ての症例は病理専門医である指導医とともに診断を行い、大学院生が最終責任を負うことはありません。特定の分野、臓器についての研修も可能です。

学会発表、症例報告も積極的に行っていきます。

大学院卒業後は、指導医のいる病院に勤務するか、指導医が応援できる病院に病理医として勤務し、専門医試験の受験資格を得たのち、試験を受けて専門医となります。

専門医制度について

病理専門医となるためには、死体解剖資格(解剖20例以上)を取得し、病理研修歴5年以上、病理解剖40例、病理診断5,000例、原著論文3編以上などの基準を満たした上で、認定試験を受ける必要があります。これらの条件の大部分を大学院入学5年目までに満たすことができる研修を行っています。

専門研修内容

●1年目
岡山大学病院の病理解剖当番に入り、解剖の手技を習得する。
大学院講座、岡山大学病院病理部で手術材料の切り出し方、組織診断を学ぶ。
大学院での研究を始める。

研修施設:大学院講座、岡山大学病院病理部
指導医:専門医の資格を有する教員、医員
指導方法:マンツーマンによる指導

●2年目
岡山大学病院、関連病院の病理解剖当番に入り執刀する。
大学院講座、岡山大学病院病理部、関連病院で組織診断を行う。
病理解剖症例についてCPCを担当する。
研究会、学会などで症例発表を行う。
大学院での研究を引き続き行う。

研修施設:大学院講座、岡山大学病院病理部、福山市民病院、香川労災病院、香川県立中央病院、岩国医療センターなど
指導医:専門医の資格を有する教員、医員
指導方法:マンツーマンによる指導

●3,4年目
死体解剖資格を得た後、学外の病理解剖を執刀する。
指導医のいる関連病院で組織診断を担当する。
大学院での研究をまとめる。
特定分野の診断を深く研修することもできる。

研修施設:大学院講座、岡山大学病院病理部、福山市民病院、香川労災病院、香川県立中央病院、岩国医療センターなど
指導医:各施設の専門医
指導方法:マンツーマンによる指導

カンファレンスについて

以下のようなカンファレンスが開催されており、各自の予定に合わせて参加していきます。
・抄読会(週一回、火9時より)
医局員が全員参加し、持ち回りで英語論文を紹介したり、連絡・情報の交換をします

・免疫染色セミナー(週二回、火・金17時頃より)
リンパ腫を中心とした他院からのコンサルト症例を、ディスカッション用顕微鏡で検討・診断します。
吉野教授や大学院生だけでなく、県外の病理医や血液内科医も参加されている活発な検討会です。

・脳腫瘍カンファレンス(月一回、土10時より)
一ヶ月にあった岡山大学脳外科の全手術症例を脳外科と病理で検討します。
岡山労災病院の病理医、田口先生が来られて、基本から解説してくださいます。

・婦人科カンファレンス(週一回、月18時半より)
ディスカッション用顕微鏡で婦人科と病理で症例検討をします。
その他、解剖症例検討会や細胞診カンファレンスなども適宜開催されています。

本年度の研修実例
大学院での生活面について

病理に進むと、専門医を取得するまで収入がなくて大変だというイメージをもっている方もいらっしゃるかもしれませんが、そのようなことはありません。当教室では県内外に数ヵ所の臨床アルバイト先があり、入学してすぐに働くことができます。それらは、教室の先輩から約20年〜40年受け継いでいるところで、大変良好な関係を維持しています。臨床研修を終えられている方なら十二分にこなせる仕事内容です。原則として、アルバイトは平日の週1回の日当直が認められており、更に希望すれば週末に当直の可能な施設があります。

大学院後半になると、指導医のいる施設に病理医としての研修を兼ねて、週一日程度勤務することも出来ます。このように臨床から病理へとアルバイトの内容を徐々にシフトしていき、常に収入を維持できるようにしていますので、他科の後期研修医と比較しても遜色のない収入が得られます。奨学金の貸与も可能です。