国立大学法人 岡山大学

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片岡講師がAMED「令和4年度障害者対策総合研究開発事業(その他)(身体・知的等障害分野/感覚器障害分野)」に採択

2022年05月09日

 岡山大学病院耳鼻咽喉科の片岡祐子講師が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「令和4年度障害者対策総合研究開発事業(その他)(身体・知的等障害分野/感覚器障害分野)」に採択されました。
 同事業は、障害者の地域社会での共生の実現や社会的障壁の除去につながる技術開発などの研究開発を行うとともに、障害を招く疾患等についての病因・病態の解明、診断、治療法、リハビリテーション法などの先進的・実践的な研究の推進を行います。
 今回、片岡講師は本事業の感覚器障害分野の「災害時における感覚器障害者の援助要請手段と効果的な支援提供を実現する双方向連携システムの開発と社会実装にむけた効果検証」の区分において、「聴覚障害者の災害時・緊急時における緊急通知音振動変換装置および情報共有システムの有用性の検討」という題目のもと申請、採択に至り、令和4~6年までの期間、研究チームを率いることになります。
 今回の採択を受けて片岡講師は、「災害や緊急情報、救急車両の近接などの一次入力は聴覚を通してされることが圧倒的に多いため、特に火災や水害時において、聴覚障がい者には非常に不利になり、生命の危険にさらされる事故となる事例も多数起こっています。災害時や緊急時の第一報をリアルタイムに第三者を介さず得る手段として考案したのが緊急通知音振動変換装置です。プロトタイプとなる製品富士通“Ontenna”開発者とともに、防災行政無線、サイレン、そして救急車両といった日常的な音も含めた危険音を認識、振動に変換するウェアラブル装置の開発を始めています。同時に救助および支援要請時の聴覚障がい者の情報授受を簡易化するアプリ開発を行い、実装する予定です。本プロダクトは既にNHKの番組でも特集されましたが、全日本ろうあ連盟との協働で、岡山での開発や基盤形成だけでなく全国へ展開し、将来の福祉に結び付けていくことが目標です。災害時の自助、公助、共助を共に向上させる、聴覚障がい者がリアルタイムに第三者を介さず情報を授受でき、安全、安心に生きられる社会にしていきたいと考えています。」とコメント。3年間の研究活動に意欲を見せました。
 片岡講師は、長年の教育研究、診療活動において難聴のある子どもたちへの支援も実施しています。2021年5月には岡山大学病院医療技術部(総合リハビリテーション部門)の中川敦子言語聴覚士とともに「難聴をもつ小・中・高校生の学校生活で大切なこと : 先生編」を発行。難聴児が学校生活でどのようなことに困っているか、またどのようにしたら難聴児が授業にしっかり参加できたり、先生や友人とよりよいコミュニケーションを取れたりするかについて、難聴児への関わり方がよく分かる20のヒントなどをまとめています。今後、これまでの取組みを活かしつつ、災害の多いわが国において重要な感覚器障害者の援助要請手段と効果的な支援提供を実現する双方向連携システムの開発、そしてその社会実装にむけた効果検証を推進していきます。今後の片岡講師らの研究チームの活動にご期待ください。
 なお、本件は2022年4月19日にAMEDのホームページに掲載されました。


<参考>
「難聴をもつ小・中・高校生の学校生活で大切なこと : 先生編」(岡山大学病院耳鼻咽喉科, 2021年5月6日発行)
「先生からの突然の質問が苦痛」難聴の子どもに学校で配慮を 冊子を作成した医師の思い【岡山発】(岡山放送)(FNNプライムオンライン 2021年9月25日放送)


【本件問い合わせ先】
岡山大学病院 耳鼻咽喉科 講師 片岡祐子
TEL:086-235-7307
//www.okayama-u.ac.jp/user/jibika-1/index.html

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