本学は9月1日、大型放射光施設SPring-8(※1)及びX線自由電子レーザー(※2)施設SACLA(※3)の利用支援等を行う公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)と、研究設備の相互利用や人材交流などを通じて、わが国の科学技術と産業を振興することを目指す連携・協力に関する協定を締結しました。
この日SPring-8で行った調印式では、本学の那須保友学長、JASRIの雨宮慶幸理事長が協定書に署名。調印後、那須学長は「本学は学内から学外へ出ていく『内から外へ』を研究戦略としている。本協定もその一環であり、施設・設備の相互利用と人材交流を通じて産学連携を進展させ、地域中核・特色ある研究大学を目指したい」、雨宮理事長は「『内から外へ』という戦略はJASRIの戦略とも合致する。地理的な優位性を活かし、本協定の活動を通じて『リサーチコンプレックス』(※4)の形成を図りたい」と意気込みを語りました。
調印式終了後には、列席した那須学長、窪木拓男副理事(研究基盤担当)、鶴田健二環境生命自然科学研究科長らがJASRI担当者の案内でSPring-8及びSACLAを見学するとともに、今後の展開について意見交換を行いました。
SPring-8及びSACLAは兵庫県佐用郡に所在し、地理的に近接していることから、両施設の利用支援等を行っているJASRIと、本学の間では従来からさまざまな形で交流が行われており、2000年4月には、大学院自然科学研究科博士後期課程の教育及び研究への協力に関する協定を締結し、JASRIの行事である“夏の学校”や“秋の学校”を共催するほか、JASRIから客員教員の派遣を受けた講義を実施するなど、教育面での連携を進めて来ました。
そうした中で、本学は現在、学内のみならず学外者の使用も視野に入れた、全学的な研究設備や機器の共用体制を確立し、イノベーション創出の強化を図る「コアファシリティ構想」を推進していることから、その実現を加速するため、JASRIに連携を呼びかけ、協議を重ねました。その結果、コアファシリティ構想の実現のみならず、理工系・医療系だけでなく、人文系をも含めた全学的な教育・研究に関する連携協力体制を構築することで合意し、今回の協定締結に至りました。
今後は、本協定に基づき、JASRIの研究者及びSPring-8及びSACLAの利用者が、本学の研究機器や設備、スペースにおいて下調べ分析などで活用できるようにするとともに、全学にSPring-8及びSACLAの活用を促すことにより、人材交流を進めていきます。
※1.大型放射光施設SPring-8
理化学研究所が所有する兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出す大型放射光施設で、利用者支援等はJASRIが行っている。SPring-8の名前はSuper Photon ring-8 GeVに由来。SPring-8では、放射光を用いてナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が行われている。
※2.X線自由電子レーザー(XFEL)
X線領域におけるレーザーのこと。従来の半導体や気体を発振媒体とするレーザーとは異なり、真空中を高速で移動する電子ビームを媒体とするため、原理的な波長の制限はない。また、数フェムト秒(1フェムト秒は1,000兆分の1秒)の超短パルスを出力する。XFELはX-ray Free Electron Laserの略。
※3.SACLA
理化学研究所と高輝度光科学研究センターが共同で建設した日本で初めてのXFEL施設。2011年3月に施設が完成し、SPring-8 Angstrom Compact free electron LAserの頭文字を取ってSACLAと命名された。コンパクトな施設の規模にもかかわらず、0.1 nm以下という世界最短波長クラスのレーザーの生成能力を持つ。
※4.リサーチコンプレックス
リサーチコンプレックスとは、地域において集積している研究機関、企業、大学などがそれぞれの活動を融合させ、世界の注目を集める、異分野融合による最先端の研究開発、成果の事業化、人材育成を一体的・統合的に展開するための複合型イノベーション推進基盤
出典:機構報 第1152号:「世界に誇る地域発研究開発・実証拠点(リサーチコンプレックス)推進プログラム」採択拠点の決定について (jst.go.jp)
【本件問い合わせ先】
研究協力部 産学連携課
TEL:086-251-8918
E-mail:co-creation◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。
「コアファシリティ構想」の実現に向け、公益財団法人高輝度光科学研究センターと連携・協力に関する協定を締結
2023年09月06日