国立大学法人 岡山大学

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岡山大学次世代研究者挑戦的研究プログラム(OU-SPRING)認定者が「吉備学会」で産学連携研究について発表

2025年01月09日

 岡山大学次世代研究者挑戦的研究プログラム(OU-SPRING)の認定者であり、本学大学院社会文化科学研究科博士後期課程に所属する白石奈津栄さんが、2024年12月13日に開催された「吉備学会」において、「未病への意識改革」をテーマに研究成果を発表しました。白石さんは第1部で「老いの最適化としての生涯学習」、第2部で「漁師の幸福感と未来展望―ライフワークバランスを実現するために―」と題し、未病への意識改革に関する基礎研究と応用事例について詳しく説明しました。
 吉備学会は、地域社会と学術界をつなぐ橋渡し役となることを目的として2007年に岡山経済同友会、本学などにより創設された学術団体で、教育・健康・社会的課題の解決に向けた活動を行っています。本学の槇野博史前学長が顧問を務めており、今回の学会開催にあたって「地域社会と大学が連携して社会的課題の解決に取り組むことが、持続可能な未来を築く鍵となる」とビデオメッセージを寄せました。
 第1部では、白石さんが日本語版AARC尺度※を用いて加齢に伴う意識の変化を科学的に測定し、生涯学習の意義を探求した研究成果を説明。老年心理学の視点から、学び続けることが高齢者の生活満足度や幸福感向上に寄与することを示しました。本学教員や国内外の共同研究者とともに進めたこの研究は、日本心理学会や老年学会などで発表され、専門家から高い評価を受けています。なお、この研究はJST次世代研究者挑戦的研究プログラム JPMJSP2126の支援を受けて実施しており、その成果は、12月26日の岡山大学定例記者発表でも報告しています。
 続く第2部では、白石さんが玉野市の漁業会社 「邦美丸」と連携し実施した、「漁師の幸福感と未来展望」に関する研究について発表しました。この研究では、漁業従事者のライフワークバランスの向上や持続可能な働き方を探るため、邦美丸が実施している「受注漁」の取り組みに焦点を当て、漁業者の幸福感や地域社会への波及効果を分析。漁業の働き方改革が他の業界へも波及することで未就学問題や後継者問題の解決に寄与する可能性を指摘しました。
 吉備学会では、白石さんの研究発表について、基礎教育保障学研究所の城之内庸仁理事長や本学の佐藤浩哉上級URAがコメントし、研究の社会的意義について議論を深めました。また、懇親会では、研究者と地域住民が直接交流し、実践的な意見交換が行われました。
白石さんは、「研究を社会に還元することで、多くの人々の生活を豊かにしたい」と語り、研究活動を通じて地域社会との連携をさらに深めていく意欲を示しました。
 本学は、「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」および「地域中核大学イノベーション創出環境強化事業」などを通じて学生が参画した産学連携研究・プロジェクトの実施を推進しています。学生参画による連携にご興味のある企業等の方は下記までお気軽にご相談ください。また、企業等との連携を希望する学生・研究者の方もどうぞお問い合わせください。

※日本語版AARC尺度(Awareness of Age-Related Change):加齢に関する自己認識を測定する心理尺度。加齢によるポジティブな変化(成長や知識の増加)とネガティブな変化(身体機能の低下や健康不安)を評価する。健康、知的能力、人間関係、社会的役割、個人的成長の5つの生活領域にわたって測定され、日本人向けに翻訳・調整されている。主に加齢認識が健康や生活の質に与える影響を調査する研究や高齢者支援に用いられる。

【本件問い合わせ先】
研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
TEL: 086-251-8918
Email: co-creation◎adm.okayama-u.ac.jp
    ※@を◎に置き換えています。

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