本学は、2025年8月から事務職員を対象に、新たな学内兼業制度「ジョブシェア制度」を導入しました。この制度は、部局の垣根を越えて多様な業務を経験することで、職員一人一人の高度化を促し、大学全体の組織力向上につなげることを目的としています。本学では、「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の取り組みに基づき、知識を活かして新しい価値を生み出す力を持ち、柔軟な対応力と広い視野を備えた人材、“ナレッジワーカー”の育成を進めており、この制度はその一環でもあります。
ジョブシェア制度の初回となる今回の取り組みでは、国際部門以外の部局から選抜された事務職員5人が、ナレッジマネジメントシステム構築の一環で、10月14~18日にかけてJICAラオス日本センター(LJI)およびカンボジア日本人材開発センター(CJCC)で開催された国際イベントに参加しました。
このイベントを通じて、海外の視点から日本や大学の現状を客観的に見つめ直し、組織の在り方を自ら考える力を育むと同時に、国際的な視野を持つ高度なマネジメント人材を育成し、その経験を言語化・体系化して整理することで、組織全体で活用できる知識(形式知)として蓄積することを目的としています。
イベントは、国際部門の主任専門職員がリーダーとして事業全体を取りまとめ、ジョブシェア制度で参加した事務職員は、ラオス・カンボジアの現地コーディネーターと連携しながら、両国から日本への留学を希望する数百人の学生に対し、本学の教育・研究の取り組み・奨学金制度・入試情報を紹介するなど、国際業務の現場を、実務を通じて体験しました。
ラオスでは、LJIポンケオ・チャンタマリー所長らと留学生事情などについて懇談したほか、LJI日本留学フェアおよび現地高校のハークケオ学園では、留学説明会において本学の取り組みを発表し、留学を希望する学生への質疑応答を行いました。また、ラオス教育スポーツ省学生局やラオス国立大学デサヌラ・センドゥアンデ学長を表敬訪問しました。このほか、日本留学フェア会場ではJICA田中明彦理事長と面会するなど、通常業務の枠を超えた活動にも取り組みました。
また、イベント会場では、本学環境生命科学研究科(農)の修了生でサラワン教師師範大学生物学科長のスリポン博士が現地企業と共同開発した製品にも触れ、本学の研究が海外の地域産学連携の中で実用化されていることを実感する機会にもなりました。
事業実施にあたり、本学の取り組みを事前に調査し、プレゼンテーションを準備する過程は、職員自身の知見を広げる非常に良い経験となりました。さらに、本学学術研究院環境生命自然科学学域(農)西野直樹教授および研究室の学生、大学院生5人と合流し、協働して本学の魅力を発信する広報活動を実施しました。この連携を通じて、より効果的な成果を上げることができ、今後の業務における協働の重要性を再認識しました。
他大学・他機関の参加者や現地の方々との交流を通じて相互理解を深めるとともに、部局や職種の垣根を越えたメンバーが現場での経験を共有しながら、本学の国際的な取り組みについて多角的な視点から意見を交わす貴重な機会となりました。
○参加者のコメント
「現地での活動を通じて、留学生が求めているものや、他大学の現状等を直接見聞きすることができました。勉強不足を感じることも多々ありましたが、自身の業務と国際業務が、いかにつながっているかという気付きもあり、これまで学んできたことを生かせる喜びも感じました。また、他部局の教職員、本学学生との協働を通じ、さまざまな視点の中で業務を行う楽しさも学べ、ジョブシェアに参加することができて良かったと思っています」
「ジョブシェアを通じて、海外の学生の日本留学に対する生の声を聞けた他、関係者や他大学の方と関わることで多様な角度から見た「国際業務・国際交流」を学びました。また、本学に対する知識不足等、自身の課題を多く感じる日々でもあり、今後、どのような点を意識して業務にあたるか、改めて考える機会にもなりました。ジョブシェアへの参加に協力してくれた周りの方々への感謝も忘れず、今回の貴重な経験を今後の業務へも生かしたいと思います」
「ジョブシェアは、普段の業務では見えていなかった、熱意と不安が入り混じった留学希望者の「志望の背景」や「リアルなニーズ」を、現地で直接対話を通じて感じることができた大変貴重な経験でした。他大学が行っている留学生獲得のための工夫を知って、岡山大学を俯瞰して見たり、異なる立場の同行メンバーの考え方や姿勢から刺激を受けたりしたことで、自身の「今後在りたい姿」を考えるきっかけにもなり、モチベーションの向上につながっています」
「ジョブシェアを通じて、英語を含む多様なコミュニケーションの場面に触れ、多くの学びと気づきを得ることができました。留学生のニーズや他大学の取り組みを直接知ることができ、現地での実践を通して教職協働の重要性を改めて感じました。今回得た経験を今後の業務改善や自身の成長に生かしていきたいと思います。貴重な機会をいただき、ありがとうございました」
【第一回ジョブシェア制度参加者】
自然系研究科等学務課 主任 石村 祥
自然系研究科等総務課 事務職員 金野 栞
自然系研究科等学務課 事務職員 久米井 万実
総務部人事課 主査 田中 佐季
総務部人事課 課長 森本 由美子
企画部国際企画課 主任専門職員 仁井 勇佑
【本件問い合わせ先】
岡山大学総務部人事課人材活用グループ
TEL:086-251-7029
E-mail:abg7029◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。
多様な業務経験を通じて事務職員の高度化を推進 ― ジョブシェア制度が始動~ラオス・カンボジアでの国際イベント参加~
2025年10月27日