株式会社ちゅうぎんフィナンシャルグループおよび株式会社ひろぎんホールディングスは、山陽地域におけるサステナビリティ推進の強化を目的として、両社が3月28日に締結した「山陽地域のサステナビリティ推進に向けたパートナーシップ協定」に基づき、このたび「カーボンフットプリント(CFP)算定に関する人財育成プログラム」を共同で立ち上げました。本プログラムには本学がアドバイザーとして協力しており、本学からは学術研究院社会文化科学学域の天王寺谷達将准教授および研究・イノベーション共創機構産学官連携本部の舩倉隆央副本部長が参画しています。地域ぐるみでの脱炭素化を金融面から支える人材の育成に、大学として学術的知見を提供する新たな取り組みが始まりました。
11月13日にオンラインで開催されたキックオフセミナーでは、プログラムの導入講座として、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)の仲井俊文氏が登壇し、世界全体で進む脱炭素社会への転換の流れや、国内の政策動向、そしてその中で地域金融機関が果たすべき役割について、幅広い視点から講演。約100におよぶ両行の支店から行員・社員が参加し、地域に根ざした金融機関が脱炭素経営支援の専門性を高めようとする姿勢が強く感じられるセミナーとなりました。
続いて本学からは、舩倉副本部長が「カーボンフットプリント起点の価値創造」をテーマに取組紹介。製品やサービスのライフサイクル全体を可視化するCFPが、単なる排出量管理にとどまらず、企業が自らの事業構造を理解し、新たな価値の源泉に気づくための重要な手がかりとなることを説明。また、本学の学生がこれまで地域企業と協働して実施してきたCFPチャレンジの取り組みを例に挙げ、学生・企業・大学が共創的に進めるプロセスが、地域の脱炭素を支える「共通言語」としてどのように機能してきたかについても紹介しました。
今回の活動は、本学が進める「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の柱の一つである職員の高度化とも深く関連しています。研究マネジメントに従事する事務職員が、大学院での研究と社会発信を両輪として展開し、研究と実務をつなぎながら社会変革に直接関わる取り組みとしても、本プログラムは重要な意味を持っています。
今後、11月下旬の集中講座を経て、2026年3月まで企業のCFP算定支援実務に取り組む予定です。なお、今回の取り組みは、昨年度に本学が株式会社中国銀行とともに環境省の「地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業」に採択され、天王寺谷研究室による学生CFPチャレンジ、地域企業・支援機関との協働により進めてきた一連の脱炭素経営支援がきっかけの一つとなっています。
本学は今後も、学生・地域企業・行政・金融機関が一体となり、地域ぐるみの脱炭素化に向けた挑戦を力強く推進していきます。昨年度の採択から一年余りで広がったこの連携の輪は、これからさらに大きな動きを生み出していくと確信しています。未来に向け、岡山大学が地域とともに創り出す新たな価値に、ぜひご期待ください。
○カーボンフットプリント
カーボンフットプリントとは、製品やサービスの原材料調達から廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出されるGHGの排出量をCO₂排出量に換算し、製品に表示された数値もしくはそれを表示する仕組みのこと。
出典:カーボンフットプリント ガイドライン(経済産業省、環境省)
【関連プレスリリース】
株式会社ちゅうぎんフィナンシャルグループ「株式会社ひろぎんホールディングスとの共同による 脱炭素コンサルティング人財育成に向けた取組みについて」
株式会社ひろぎんホールディングス「株式会社ちゅうぎんフィナンシャルグループとの共同による脱炭素コンサルティング人財育成に向けた取組みについて」
【本件問い合わせ先】
研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部 舩倉
TEL:086-251-7151
Email: co-creation◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。
本学がちゅうぎんフィナンシャルグループ・ひろぎんホールディングス共同「CFP人財育成プログラム」に協力参画
2025年11月19日