国立大学法人 岡山大学

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総合技術部 第87回医学系技術課 鹿田研修会を開催~臨床研究を学び、新たな知識を拓く~

2025年12月12日

 本学技術統括監理本部を構成する組織のひとつである総合技術部は、11月21日、「第87回医学系技術課 鹿田研修会」を本学鹿田キャンパスの動物資源部門鹿田施設にて対面とオンライン聴講のハイブリッド形式で開催しました。
 医学系技術課に所属する技術職員の業務は、基礎研究から臨床支援まで多岐にわたり、高度化・複雑化する医療研究に対応するためには、専門知識の深化と幅広い視野を養うことが不可欠です。同課では、技術職員間の情報共有と連携強化、そして個々のスキルアップによる研究支援力の底上げを目的として、年3回研修会を開催しています。87回目となる今回は、近年急速に進展するがんゲノム医療への理解を深めるため、「婦人科悪性腫瘍と遺伝学的検査」と題し、本学学術研究院医歯薬学域(医)周産期医療学講座の長尾昌二教授が講演しました。
 長尾教授は、近年増加傾向にある卵巣がんや子宮体がんの現状に触れつつ、現在のがん診療において遺伝子検査が治療方針の決定に不可欠な役割を果たしていることを解説しました。講演では、個々の患者の遺伝子情報に基づいて最適な治療薬を選択するがんゲノム医療の概念を中心に説明がありました。具体的には、BRCA遺伝子変異を持つ卵巣がんに対するPARP阻害薬の活用や、子宮体がんにおけるゲノム分類に基づいた免疫チェックポイント阻害薬の奏効例などが紹介されました。
 また、特に重要なトピックとして、遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)症候群に対するリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)が取り上げられました。長尾教授は、RRSOを実施することで、卵巣がんや乳がんの発症頻度を大幅に減少させるだけでなく、がんによる死亡率や全死亡率をも有意に低下させるという具体的なデータを提示し、遺伝性腫瘍に対する予防的介入の有効性が示されました。
 講演後の質疑応答では、玉田祐里技術専門職員らから活発な質問が寄せられ、最新の知見に基づいた婦人科がん診療への理解を深める大変有意義な研修会となりました。
 総合技術部の本部長である佐藤法仁副理事・副学長・上級URAは、「最新の医療技術、臨床活動から学ぶべき点は多いです。特に医学系技術課の技術職員らは、科研費を含めた競争的資金や技術研究などに従事している職員もおり、非常に有効な研修会となっています。今後も技術職員の『高度化』を強化推進できるようにしていきたいと思います」とコメントしました。
 本学総合技術部は、全学の技術職員の連携を深めるとともに、多様な研修プログラムを通して技術職員のスキルアップを図ることにより、地域中核・特色ある研究大学:岡山大学の研究・教育・臨床活動などのパートナーとして取り組みの強化を推進していきます。
 また、本学では、2022年度より東京科学大学が行っている高度技術職員養成の取り組みである「TCカレッジ」に参画しており、大学における技術職員の高度専門人材養成等を協働で実施しています。本年度からは、本学はサテライト校として「医工系コース」を開講しており、強みある分野を生かした取り組みを戦略的に推進しています。
 今後も「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の採択大学であり、地域と地球の未来を共創し、社会変革を実現させる研究大学:岡山大学の絶え間ない変化と挑戦と、それを担う技術職員の活動にどうぞご期待ください。

<参考>
産官学で連携したオールジャパンの人財育成に向けて「研究基盤EXPO2025」を幹事校として開催
文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
「第2回総合技術部研修会–有言実行–」を開催~研究大学を担う技術者としてさらなる飛躍を~
総合技術部第86回医学系技術課鹿田研修会を開催~技術職員間の情報共有で研究力の強化を図る~
令和7年度岡山大学TCカレッジ医工系コース中級カリキュラム「生物系各種光学顕微鏡(基礎)」を実施


【問い合わせ先】
岡山大学総合技術部 医学系技術課 鹿田研修会
E-mail:shikatakensyu◎okayama-u.ac.jp
※◎を@に置き換えてください。
総合技術部HP

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