国立大学法人 岡山大学

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火星生命物質サンプルリターンについて検討する国際ワークショップを開催

2020年02月13日

 岡山大学は2019年12月17、18日、本学惑星物質研究所・惑星システム科学部門(PML)中村栄三教授と豪州ニューサウスウエールズ大学Martin J. Van Kranendonk教授を共ホストとした、火星生命物質サンプルリターン(試料採取および持ち帰り)の検討に関する「LifeSprings国際ワークショップ」を本学三朝キャンパスで開催しました。
 本ワークショップでは国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(Japan Aerospace Exploration Agency, JAXA)の宇宙飛行士であり、京都大学宇宙総合学研究ユニットの土井隆雄特定教授や、本学那須保友理事(研究担当)・副学長を含め、全世界から35人の科学者研究者・エンジニア・大学スタッフが集結し、プロジェクトの立ち上げに向けて熱心に議論を交わしました。
 火星探査は各国各機関により多数計画されており、本学の研究者がその開発に関与しているJAXA主導による数カ国の国際共同深宇宙探査計画として、火星の衛星フォボスを観測し、サンプルを採取して地球へ帰還する火星衛星探査計画 (Martian Moons Exploration, MMX)が計画されています。しかしながら本ワークショップでは、火星表層に記録されているであろう生命の痕跡を探るため、「コロンビアヒルズ(Columbia Hills)」周辺の約35億年前に活動した温泉地帯からのサンプルリターンを行う構想について議論されました。NASAが進める火星探査ミッション「Mars2020計画」に参加する科学者の意見や、「はやぶさ2」プロジェクトマネージャーの津田雄一JAXA宇宙科学研究所(ISAS)教授による「本ワークショップによる構想は全人類がステークホルダーである」といった意見もあり、本構想がこれまでにないエポックメーキングな計画であると認識されました。
 本学PMLは、「はやぶさ」のサンプルリターンの解析で貢献したことや、2020年12月に帰還を予定している「はやぶさ2」による小惑星リュウグウ試料の解析準備を進めていることがすでに全世界に認識されています。その科学的な実績と構築された総合解析システム(CASTEM)の見学をもとに、本学PMLが本計画にも主体的に参画し、JAXA/ISASや東京大学・中央大学などのアカデミアの新進気鋭の研究者・エンジニアと共に、本構想の実現に向けて計画を具現化していくとの合意がなされて、閉幕しました。

○岡山大学は2019年10月に「重要研究分野」を制定しており、計画の実現が期待される本件領域は、「(大領域)高度な知を創生する基礎科学領域」「(中領域)先端数物系科学」「(小領域)地球惑星物質科学」として研究力の強化を指定している領域で、今後の発展が期待される分野です。

【問い合わせ先】
岡山大学惑星物質研究所PML
教授 中村栄三
https://pml.misasa.okayama-u.ac.jp/home.php
TEL:0858-43-3745
MAIL:eizonak◎misasa.okayama-u.ac.jp
※◎を@に置き換えてください。

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