国立大学法人 岡山大学

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Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.85 発行

2020年12月25日

 本学は12月25日、岡山大学の強みのひとつである医療系分野の研究開発の成果について、革新的な技術に橋渡すことのできる基礎研究や臨床現場、医療イノベーションなどに結びつく成果などを英語で世界に情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.85を発行しました。
 2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産、技術移転活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行して来ました。またAAAS(American Association for the Advancement of Science)が提供する、世界最大規模のオンラインニュースサービス「EurekAlert!」を利用し、世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者などにニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信の強化と国際的知名度の向上などを推進しています。
 OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。
 本号では、大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)歯科保存修復学分野の島田康史准教授と吉山昌宏教授らの放射線を用いない歯の画像診断「光干渉断層計(OCT)」を使う虫歯の診断法の開発について紹介しています。
 虫歯の検査は通常、目で見る視診やX線写真で判断しますが、小さな虫歯や奥歯の歯の間の虫歯は見つけるのが難しく、虫歯が進行してしまうこともあります。また、妊婦さんや赤ちゃんのX線写真の撮影は、慎重に判断して行う必要があります。安全に正確に、いつでも安心して受けられる虫歯の新しい診断が望まれています。
 島田准教授らの国際研究グループは、「光干渉断層計(OCT)」に注目し、歯科臨床で活用する方法について研究を進めてきました。光を使うOCTは、歯のエナメル質や象牙質の内部を観察することができ、歯の内部や歯と歯の間の小さな虫歯も見つけることができました。また、奥歯の歯の間にある初期の虫歯について、X線写真と診断精度を比較した結果、OCTによる診断のほうが正確であることがわかりました。
 OCTは放射線を使わないので、妊婦さんや赤ちゃんに安全に使うことができる虫歯の診断です。OCTの画像解像度は高く、虫歯の診断だけではなく、歯に生じた亀裂や、すり減った程度も観察することができます。様々な歯の疾患の診断に使用できる可能性があります。
 岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示すリサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学を構築し、「岡山から世界に新たな価値を創造し続けるSDGs推進研究大学」となるため、強みある医療系分野などの国際的な情報発信を力強く推進しています。今後も本学から生み出される成果を産学官民共創のオープンイノベーションの加速や社会、医療現場が求める革新的技術、健康維持増進により早く届けられるように研究開発を推進していきます。
 なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.85:Promising imaging method for the early detection of dental caries


<Back Issues:Vol.77~Vol.84>
Vol.77:Green leafy vegetables contain a compound which can fight cancer cells (大学院環境生命科学研究科(農学系)中村宜督教授)
Vol.78:Disrupting blood supply to tumors as a new strategy to treat oral cancer  (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)河合穂高助教)
Vol.79:Novel blood-based markers to detect Alzheimer's disease  (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)阿部康二教授)
Vol.80:A novel 3D cell culture model sheds light on the mechanisms driving fibrosis in pancreatic cancer  (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 狩野光伸教授&大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)田中啓祥助教)
Vol.81:Innovative method for determining carcinogenicity of chemicals using iPS cells  (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 妹尾昌治教授&杜娟博士)
Vol.82:Making memories — the workings of a neuron revealed (異分野基礎科学研究所 墨智成准教授)
Vol.83:Skipping a beat — a novel method to study heart attacks (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)高橋賢研究准教授)
Vol.84:Friend to Foe — When Harmless Bacteria Turn Toxic (大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)垣内力教授)



<参考>
「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」バックナンバー
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
総務部 広報課
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。

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