国立大学法人 岡山大学

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サルナシ果汁を飲ませたマウスでタバコに含まれる肺発癌物質に起因する肺腫瘍が有意に減少することを発見!

2022年12月22日

◆発表のポイント

  • サルナシは岡山県でも栽培されている食用果物です。
  • マウス肺発癌実験で、サルナシ果汁成分を水代わりに飲ませていたマウスでは、水を飲ませていたマウスには同じ量の発がん物質を投与すると100%肺がん発症する条件でも、悪性腫瘍数は有意に少なく、約半数のマウスには悪性腫瘍は見られませんでした。
  • 複数の作用機構が総合的に働いて、サルナシ果汁が肺癌抑制すると分かりました。

 岡山大学学術研究院医歯薬学域(薬)の有元佐賀惠准教授は、マウス肺癌モデルにて、サルナシ果汁をマウスに水代わりに飲ませておくと、肺発癌物質による肺悪性腫瘍の発症数が有意に減少し、うち約半数(15匹中7匹)のマウスには悪性腫瘍が発生しなかったことを明らかにしました。また、その発癌抑制の作用機構は、サルナシ果汁によるDNA傷害防止とDNA傷害に対する修復促進による癌発症予防、および増殖シグナル伝達阻害により、癌細胞の増殖を抑制すること、などであることを明らかにしました。
 これらの研究成果は12月9日、Springer Natureの雑誌「Genes and Environment」(インパクトファクター2.627)のResearch Articleとして掲載されました。
治療法の進歩により、癌は必ずしも死ぬとは限らない病気になりましたが、依然として日本人の死亡原因の一位です。癌発症が生活環境、特に食品・飲料・嗜好品などが大きく影響することが知られており、癌予防法解明への一歩となることが期待されます。
 この研究は岡山大学病院の木浦勝行教授、岡山大学病院 腫瘍センタ―久保寿夫助教(当時)(現所属:国立研究開発法人 日本医療研究開発機構)との共同研究です。

◆研究者からひとこと

癌予防を目指して、ヤマブドウ果汁や他の飲料を研究してきました。日本で一番死亡数の多い肺癌を減らすのが念願です。まだ、マウスレベルですが、サルナシ果汁で肺癌発症を抑えられて、念願の第一歩を踏み出した気持ちです。

■論文情報
論 文 名:Chemopreventive effects and anti‑tumorigenic mechanisms of Actinidia arguta, known as sarunashi in Japan toward 4‑(methylnitrosamino)‑1‑(3‑pyridyl)‑1‑butanone (NNK)‑ induced lung tumorigenesis in a/J mouse
掲 載 紙:Genes and Environment
著  者:Jun Takata, Naoko Miyake, Yusuke Saiki, Misako Tada, Kensuke Sasaki, Toshio Kubo, Katsuyuki Kiura and Sakae Arimoto-Kobayashi
D O I:https://doi.org/10.1186/s41021-022-00255-0

■研究資金
 本研究は、運営費交付金等で実施しました。

■関連出願特許
名  称:サルナシ由来の高極性有機溶媒抽出物とその利用
出願番号:特許出願2012-156410
出 願 日:平成24年(2012年)7月12日
登  録:登録記事 6179840 (2017/07/28)   査定日(2017/06/27)
出 願 人:国立大学法人岡山大学


<詳しい研究内容について>
サルナシ果汁を飲ませたマウスでタバコに含まれる肺発癌物質に起因する肺腫瘍が有意に減少することを発見!


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院医歯薬学域(薬)
准教授(特任) 有元佐賀惠
(電話番号)086-251-7947 (FAX番号)086-251-7947

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