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細胞内でおきるタンパク質輸送の制御機構を解明

 細胞の中で作り出された様々な物質を正しい目的地へと送り届けるため、細胞内にも細胞内輸送とよばれる物流配送システムが存在します。岡山大学大学院自然科学研究科の佐藤あやの准教授らは、この細胞内輸送のうち、律速段階(輸送の効率を決める最も重要な段階)と考えられている、COPII(コップ2)小胞による輸送の制御機構を解明しました。具体的には、COPII小胞形成に関わる分子Sec31のカゼインキナーセによるリン酸化がこの制御機構の鍵となっていることをつきとめました。また、この制御機構は、老化やストレスによって変化することもわかったので、今後、本研究の成果を利用し、律速段階を完全にコントロールすることができるようになれば、老化やストレスによる細胞内輸送の変化、例えば消化酵素の分泌低下の解消などに役立つと期待されます。
 本研究成果は、2013年1月18日(米国東部時間17:00)に米科学誌「PLOS ONE」のオンライン版で公開されます。
ヒトの細胞で新しく作られるタンパク質のうち1/3は、「小胞輸送」と呼ばれる細胞内輸送システムにより細胞内外の正しい部位へと運ばれていきます。小胞輸送は、老化やストレスにより影響を受けることが知られており、このことが老化やストレス時の分泌低下のような症状につながると考えられています。

小胞輸送では、積み荷であるタンパク質はカプセル状の構造(小胞)に包み込まれて運ばれます。この小胞輸送の律速段階は、輸送システムを構成する小胞体からゴルジ体に向かう「COPII小胞」と名付けられたカプセルの構築段階であることが分かっていましたが、その制御が実際にどのようにおこなわれているのかという分子機構は分かっていませんでした。

今回、本学自然科学研究科・佐藤あやの准教授らのグループは、(1)COPII小胞でカプセルを構成しているSec31というタンパク質に、リン酸化という修飾がおきていること、(2)このリン酸化がカゼインキナーゼ2(CK2)という酵素によって触媒されていることを突き止めました。また、(3)Sec31のリン酸化が起きないように改変した細胞や、CK2をもたない細胞では、COPII小胞の小胞体からゴルジ体への移動がうまくいかないことも明らかにしました。このことから佐藤准教授らは、Sec31のリン酸化が小胞輸送の効率を決める重要な制御であると結論しました。

研究グループでは今後、本研究で得られた成果をもとに老化やストレスにより生じる分泌異常を改善する方法の開発をめざします。

本研究成果は、2013年1月18日(米国東部時間17:00)に米科学誌「PLOS ONE」のオンライン版で公開されます。

詳細については報道発表資料をご覧下さい。

【お問い合わせ先】
岡山大学大学院自然科学研究科准教授
佐藤あやの
TEL:086-251-8163