国立大学法人 岡山大学

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液体をつかむ?アリのユニークな液体の運搬は、餌の粘度が鍵!

2023年06月14日

◆発表のポイント

  • アリは、巣の仲間のために見つけた餌を持ち帰りますが、運搬が難しい液体の餌(蜜など)はどのように運ばれるのでしょうか?
  • 多くのアリは、液体の餌を飲んで胃に貯めて持ち帰りますが、一部のアリ種は、液体の餌も、固形の餌と同じように大顎で“つかむ”ことができます。
  • 本研究では、トゲオオハリアリが液体の餌の粘度によって運搬方法を使い分け、運搬効率を高めていることを世界で初めて発見しました。

岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)の藤岡春菜助教と、フリブール大学(スイス)のManon Marchand 博士、Adria LeBoeuf教授は、トゲオオハリアリの採餌行動が液状餌の粘度によって変化することを発見しました。さらに、粘度に応じて行動を変化させることで、トゲオオハリアリは、効率的に多くの餌を持ち帰っていることが解明されました。この研究結果は、6月14日、英国王立協会の国際雑誌「Proceedings of the Royal Society B」の Research Article として掲載されます。

◆研究者からひとこと

この研究は、物理学者であるManonとのコラボレーションによって、大きな成果をあげることができました。液体の粘度や重力は、生物学者の私に取って普段は全く馴染みのない現象ですが、動物世界を理解する上で大切です。頭が痛くなりながら、粘度が小さなアリの行動に与える影響を考え続けた日々でした。留学先のAdria教授には、上司として友人として、たくさん支えていただきながら、研究を進めました。
共著者のお二人にはとても感謝しています。

藤岡春菜 助教

■論文情報
論 文 名:Diacamma ants adjust liquid foraging strategies in response to biophysical constraints
掲 載 紙:Proceedings of the Royal Society B
著  者:Haruna FUJIOKA*, Manon Marchand, Adria C. LeBoeuf*
D O I:10.1098/rspb.2023.0549
U R L:https://doi.org/10.1098/rspb.2023.0549

■研究資金
 本研究は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費」(JP20J01766)と公益社団法人日本動物学会茗原眞路子研究奨励助成金の支援を受けて実施しました。

<詳しい研究内容について>
液体をつかむ?アリのユニークな液体の運搬は、餌の粘度が鍵!


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域(農)
助教・藤岡春菜
(電話番号)086-251-8313

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