国立大学法人 岡山大学

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斜視候補遺伝子MGST2の欠損により、マウス眼球が大きくなることを発見!

2024年03月14日

◆発表のポイント

  • 内斜視や外斜視などの斜視は遺伝要因と環境要因からなる多因子疾患で、視線のずれから立体視など両眼視機能に異常を引き起こす疾患です。
  • これまで私たちは斜視関連遺伝子候補としてMGST2を見出しました。
  • 斜視の原因を明らかにするため、この候補遺伝子MGST2を働かなくさせたマウスを作成し、そのマウスの脳や眼球の形状を小動物用MRIで撮影して画像計測しました。
  • その結果、MGST2が機能していないマウスでは、眼球が上下左右にわずかながら拡大して眼球容積が有意に大きくなっていて、斜視の原因を考える手がかりが得られました。

 岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域(医)生体機能再生再建医学分野(眼科)の松尾俊彦教授、岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科博士後期課程の朝木力格大学院生、杉本昂平大学院生(研究当時、現・岡山画像診断センター診療放射線技師)、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)脳神経機構学分野の宮地まり助教、細谷修助教、岡山大学学術研究院医歯薬学域(薬)生体機能分析学分野の上田真史教授、群馬大学生体調節研究所の畑田出穂教授、堀居拓郎准教授、小林良祐研究員は、斜視候補遺伝子MGST2の機能をなくしたマウス系統を樹立し、そのマウスでは眼球が上下左右に有意差をもってわずかながら大きくなっていることを小動物用のMRI検査機器で撮影した画像解析で明らかにしました。
 本研究成果は、2024年2月5日、スイスの医学誌「Biomedicines」に掲載されました。
 斜視の原因解明の一助となり、今後の斜視診断や治療に貢献すると期待されます。

◆研究者からひとこと

 私は20年以上、斜視遺伝について研究してきました。2017年12月26日、前橋の群馬大学まで畑田出穂教授との面会に伺い、斜視候補遺伝子MGST2のノックアウトマウスをCRISPR/Cas9法で作成してもらう相談を始めたのがきっかけです。それから6年、やっと結果が出ました。
 2019年4月、中国内モンゴル自治区からの留学生として大学院ヘルスシステム統合科学研究科の修士課程に入学した朝木力格(チョウモリカ)さんがマウスの世話をしながら研究を始め、医学系の宮地先生や細谷先生に教えてもらいながら博士後期課程で研究を完成しました。また同じ大学院博士後期課程の学生であった診療放射線技師の杉本昂平さんがMRI撮影条件や解析方法を詰めて実現した研究です。薬学系の上田先生が管理する小動物用のMRIが大学にあったのも幸運です。様々な分野の専門家からなるヘルスシステム統合科学らしい研究成果と思いませんか。

松尾教授

■論文情報
論文名:Morphometric Analysis of the Eye by Magnetic Resonance Imaging in MGST2-Gene-Deficient Mice.
掲載誌:Biomedicines 2024;12:370.
著者: Chaomulige, Toshihiko Matsuo, Kohei Sugimoto, Mary Miyaji, Osamu Hosoya, Masashi Ueda,Ryosuke Kobayashi, Takuro Horii, Izuho Hatada
DOI: https://doi.org/10.3390/biomedicines12020370

<詳しい研究内容について>
斜視候補遺伝子MGST2の欠損により、マウス眼球が大きくなることを発見!


<お問い合わせ>
岡山大学学術研究院ヘルスシステム統合科学学域
(岡山大学病院眼科)
教授 松尾俊彦

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